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思い出し泣き笑い20〜父の転所

父の胃ろうの手術が終わり、退院に向けて病院のソーシャルワーカーさんと面談をした。
完全寝たきりになってしまったから、元居た施設には戻れないと。
最初の施設、亡くなるまで見てくれるって言ったのに…。そこはある程度自分のことが出来ないと入れないらしい。そんなこと聞いてない!
母だって、父の帰りを待っているのに。
でも決まりだからしょうがない。

ということで、今の父が入所できて比較的私の家から近いところを3箇所探してくれた。
早速それぞれの施設へ見学と施設担当者との面談を兼ねて行ってみた。

コロナ禍だったから、施設内は見せてもらえなかった。
面談は、元気だった頃の父の歴史を話し、性格や仕事のこと等、結構な時間を使って話をした。

父はナイトクラブとスナックを経営していた。
自分で一からではなく、若い頃社長に可愛がられていたらしく、譲り受けて経営者になった。
元々経営者に向いているタイプではないと、私は子供ながらに見ていた記憶がある。
人が良すぎるからだ。
案の定、その社長の借金の保証人になり、社長亡き後その借金を背負わされていた。

父は母より8歳年下。若い頃はカッコよくて、自慢の父だった。
今思えば、帰ってこない日もあったりしたけど、母は私たち子供に分からないように上手く誤魔化してくれていた。
父を嫌いにならなかったのは、母がとにかく父を褒め称え、私たち子供に父の良いところしか見せないように努力していたからだ。
お父さん!お母さんに感謝だよ。

そんな父の歴史をあちこちで話しているだけで、帰りの車でなんだか切なく懐かしい気持ちになり、涙が出た。
そしてその泣きながら帰った帰路で、20キロオーバーのスピード違反で捕まった。泣ける。