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『カムカムエヴリバディ』~「大嫌い」という言葉

今日は、本ではなくて、ドラマのお話。

朝ドラが好きで、割と観ているほうだが、とりわけNHK大阪制作の作品のほうにいつもハマってしまう。『おちょやん』も『スカーレット』も好きだった。関西人なので、馴染み深い関西弁が朝から聞けるのも嬉しいし、日常に自然に根付いているボケとツッコミ、関西ローカルで人気の芸人が登場することもあるほか、良い意味でも悪い意味でも赤裸々に表現される人間味…などなどに共感を覚えるのだと思う。

絶賛どハマり中なのが『カムカムエヴリバディ』。

親子3世代の話で、ヒロイン3人という、今までにないスタイルで、いったいどうなるかと思ったけれど、王道ヒロインの安子(上白石萌音さん)編、心に傷を負う安子ちゃんの娘るい(深津絵里さん)編と続き、今るいちゃんが暖かい家庭を築いているほっこりホームドラマな時期に突入している。今日、るいちゃんの娘、ひなたが子役(新津ちせさん)で登場した。

ショックなシーンも結構あったけれど、幸せも笑いもたくさんもあり、視聴者でありながら、登場人物と二人三脚で歩いているかのように感じられる秀作。

これからさらにどんなストーリーが紡がれていくのかわくわくしている。

でも、これまでの伏線で引っかかっていることがある。

それは、安子編の最後に、幼いるいちゃんがおでこの傷を見せながら、安子に投げつける言葉。

I Hate You…

ドラマ内では「大嫌い!」と訳されている。

娘からの最後通告のような言葉と受け取った安子は、現実と訣別し、アメリカへと旅立ってしまう。それほどまでに、ショックな言葉だったのだろう。

とはいえ、そんなに簡単に「大嫌い」なんて、人に言えるものなんだろうか。

突然だが、こんな話を聞いた。

ある職場で働くAさんとBさんという人がいた。Aさんが先輩、Bさんが後輩。二人とも立派に仕事をしている社会人だ。ある時、Bさんがちょっといらんことをしてしまい、AさんがBさんに向けて「大嫌い」と言ったのだという。当然、Bさんは大きなショックを受けた。Aさんを慕っていたから。

人に向かって「大嫌い」。いくら後輩だとはいえ言っていいことなんだろうか。簡単に言える言葉なんだろうか。私は考えてしまった。

なぜ言ったのか。AさんからBさんに対して甘えがあったとしか思えない。いったいどういう神経をしているのだとも思うのだが、Aさんのほうにも心が不安定になるようなことがあって、言ってしまったのかもしれない。

とはいえ、人に投げかける言葉として許されるものではないし、『カムカム』の安子も英語だったとはいえ、受け止めた瞬間絶望に陥り、思わぬ方向に人生の舵を切ってしまった。

「大嫌い」…。人の人生を変えてしまうほどの、恐ろしい言葉なんだと改めて思う。

るいちゃんはなぜ、「大嫌いーI Hate Youー」と言ってしまったのだろう。

きっと心の奥底に、母へ甘える気持ちがあったからなんだと思う。
まだまだ小さかったのだから。
だけど、いろいろなことが積み重なり本心ではない「大嫌い」が膨らみ、投げかけてしまったのだろう。

とはいえ、視聴者として、このままあの「大嫌い」を放っておいてほしくない。

「大嫌いーI Hate Youー」
今後、ドラマの中で、この言葉はいったいどう回収されていくんだろう。

願わくば、「大嫌い」を「大好き」に覆すストーリーを期待しているし、3世代が調和する希望あふれる未来がありますように…。

最終回まで、見守っていきたいと思う。

カムカムエヴリバディ 公式サイト

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