にじいろガーデン
「にじいろガーデン」小川糸 著
にじいろの家族、にじいろの希望
家族というのは、血の繋がりではなくて、心の繋がりで作ることができる。
作った家族の中で、ぶつかりあうことも、喜び合うこともあって、
日々重ねた時間というのが、家族のカタチとなっていく。
読後にそんなことを考えた小説。
あるきっかけで運命を感じた女性二人、
泉さんとおチョコちゃんがともに生きることを誓い、
泉の連れ子を息子とし、さらに新たな命を育み(宝ちゃん)。
ある家族の歴史を描いた物語。
彼女らはいわゆる、性的マイノリティ。
だけど、家族として結び付き合うのにそんなことは関係ない。
ただ、偏見はある。結婚したくてもできない。
それでも、結びつき合いたい願いと、寄り添う心で、二人ははねのけていく。
物語の展開は清々しくて、最後は切ない。
そして、ただ一人の男子に訪れた結末、とても悲しかった。
けれど、きっと光に向いている、希望あふれる話で、心がキュッとなった。
マイノリティを取り上げる難しさ。
世界的にはLGBTの認知は日本に比べて広く、ゲイカップル、レズビアンカップルは、普通の域に達していると思う。
でも日本って、まだまだ性的マイノリティへの拒否感が強いと感じる。
それだけじゃなくって、日本は様々なマイノリティへの差別が強い
たとえば少子化を、産まない女性のせいにする政治家が、のうのうと生きていることはそれを証明してあまりあるもの。
最近少しずつ、特別養子縁組の認知も広がってきたりもしているのに。
戦後には、戦災孤児を引き取って育てた家族もあるというし、どうしてこんな狭量な大人たちがはびこる社会になっているんだろう。
昨年ヒットした「昨日何食べた?」ってドラマあったけれど。
こうした小説がもっと広まって、みんなが「あるべき姿」で居られるようになればいいな。
ありがとうございます。