『小福ときどき災難』・・・視点を変えれば、災難も小さな福になる。
気づいたら、40歳を過ぎていた。
20代、かなりポンコツの社会人として人生に迷っていた。
そのまま30代に突入して、ライターとしてなんとか生きていける道をみつけ、それでもまだ何か足りない…。結婚できないと悩みに悩んだ30代前半。
精神なんて全然落ち着かなかった20代、30代。
30代後半、一応結婚して、でも子どもは産まなかった。精神的にはやっと落ち着いて、人生を始めようと気合をいれた今の時期がすでに44歳だ。
気持ちが整ったんだし、人生は何歳でも輝くものだし・・・。とか、きれいごとで考えてみるけど、やっぱり44歳は44歳。
時の流れには抗えない。自分は変わっていないつもりでも、周囲の変化にはなんだか敏感になった。じわじわと感じる変化は、やっぱり親をはじめ、まだまだ元気と思っていた年配者たちの老いを感じて、サポートしていかなくてはならなくなっていくこと。
そうしたことにいちばん、頼りにされる年代でもある40代。
肝心の自分は、40代になっても、何者にもなれないという焦りで、くすぶっているのだけれど。
そのあたりは置いておいて。親なり、祖母なり、年配者に接していると、自分もいつかは老いるんだということをしみじみ考える。
自分の老いだって、そう遠い未来でもない。ああなんて、人生は短いんだろう。老いる準備と、心構えって、今から考えておかなくてはなと、日々思う今日このごろだ。
小福は、「しょうふく」ではなく、「こふく」と読むそう。
群ようこさんは70代近くで、終活とまではいかないけれど、ものを減らしたりと少しずつコンパクトに生活を変えつつ、毎日色々なことを考えて暮らしていらっしゃって、その日々の記録がおもしろい。
群さんも、親を亡くしたり愛猫を亡くしたりと、変化する日々。寂しくなっても、お花を飾る習慣ができたと記す群さん。災難も裏返せば、前向きに生きる発見がたくさんある。
老いること、日々変化することは、災いもあるけど、小さな幸せを届けてくれる。そんな日々の記録を読んでいると、歳を取っていくことも楽しくなってくる。
こんな感想を書いていたら、群さん自身がこの本を出した時の気持ちを語っていた。コチラ。こんな心持ちで生きていきたい。
そういえば今回のこのエッセイの中で、老いるとか関係なく、大きく頷いてしまったのが「アボカド」のエピソード。
柔らかいアボカドに辿り着きたいけど、どれを買うのが正解なんだろう。押してみるのがいいんだろうけど、それっていかがなものか!? 私にとっても永遠のテーマだ。
ちなみに表紙は、いぬんこさんが描いたイラスト。
NHK連続テレビ小説『おちょやん』のオープニングイラストも描いてらっしゃった方。このふっと抜けたような、キュートなイラスト。やっぱり思わず手にとってしまうよなあ。
あ、群さんといえばれんげ荘シリーズ。新刊が出たようで、コチラも楽しみで仕方ありません!!でも、積読がたまりすぎてて、読めるのいつの日やら。
追記:この本についての記事、発見しました。コチラ
この記事が参加している募集
ありがとうございます。