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ダイレクトドライブ vs. ベルトドライブ ~レコードプレーヤー その後の話~

以前「ダイレクトドライブ vs. ベルトドライブ」というタイトルで40年以上使い続けているレコードプレーヤーについて書いたが、とうとうそのレコードプレーヤーが壊れてしまった。

久しぶりにレコードを聴こうと思ったら何か変。ターンテーブルがすごい勢いで回転している… 上の記事で「ダイレクトドライブは回転数を微調整できるのが良い」と書いたが、微調整どころではなく尋常ではない高速回転。どうやらモーターを制御する回路がイカレたみたい…
そんな訳で、真剣にレコードプレーヤーの購入を検討する羽目になってしまった。

ドライブ方式はどうする?

長年ダイレクトドライブ方式のプレーヤーを使ってきたが、2022年11月の時点で購入するとなるとダイレクトドライブは選択肢が少なすぎる。ベルトドライブは1万円以下のものから10万円以上のものまで、国内メーカー/海外メーカーの製品がたくさんある。やはりここはベルトドライブ方式から選択しようかな。

トーンアームの方式はどうする?

トーンアームにはS字型とストレート型がある。
ストレート型は低価格帯のもに採用されていることが多く、カートリッジ・シェル交換もできない。なので使い慣れていて、手持ちのカートリッジに交換ができるS字型のを選択しようかな。

接続方式はどうする?

最近のプレーヤーはフォノイコライザーを内蔵していて、RCAケーブルやBluetoothで接続できるみたい。でもBluetoothってペアリングやら接続/切断が面倒だし、折角のアナログ音質がデジタル化されちゃうので要らないな。フォノイコライザーも単品のを持っているので、内蔵していなくても良いかな。

自動再生機能はどうする?

これまで使っていたプレーヤーはフルオート機能を搭載していたので、STARTボタンを押すだけで、自動的にターンテーブルが回転し、トーンアームがレコード盤の上まで移動、アームが下がって針をレコード盤に落として再生が始まり、レコード再生が終わると自動でトーンアームが戻って、ターンテーブルが止まり、電源OFF。こんなに便利な機能なのだが、最近のプレーヤーにはあまりオート機能が搭載されていないみたい。4万円以下の入門機に搭載されていることが多い印象。オート機能を搭載しているということは、そのためのモーターやら制御回路やらがあり、それらがトーンアームの動きや針から拾った微弱な信号に悪影響を及ぼすようなことが、どこかのオーディオ関連の記事に書かれていたような。
便利機能をとるか、音質をとるか。レコードはたまにしか聞かないから便利機能はなくても良いかな。

DENONのプレーヤーはどうよ?

その昔デンオンと呼ばれた、レコードプレーヤーやMCカートリッジで有名な名門オーディオ機器メーカー。そんな系譜を引き継いだDENONのDP-400というレコードプレーヤーが条件にピッタリ。
主な特徴は、

・伝統のS字型ユニバーサルトーンアーム:デノンがレコードプレーヤーの発売を開始した1970年代の設計思想に回帰し、スタティックバランスのS字型トーンアームを新たに開発
・オートリフトアップ&ストップ機能:レコードの再生が終了した際に自動的にトーンアームをリフトアップし、ターンテーブルの回転を停止。トーンアームの性能に対する悪影響は一切ありません。
・ターンテーブルの回転精度を高める回転制御機能:ターンテーブルの下に配置した速度センサーによってターンテーブルの回転速度を常時モニターし、正確な速度を保つようモーターの動作を制御
・MMカートリッジ対応フォノイコライザー搭載:フォノイコライザーの音質向上のために電源回路を見直し、供給する電圧を3倍に強化
・レコードスタンドにもなるダストカバー:レコードの再生中にはダストカバーを付属のダストカバースタンドで立てておくことができます

出典:https://www.denon.jp/ja-jp/shop/usbdaconverters_ap/dp400_ap

音質重視であることがうかがわれる。
ん? 「レコードスタンドにもなるダストカバー」ってどういうこと?
と思って公式ホームページの写真を見たら、まるで見た目がカセットコンロ。これはないわー。

出典:https://www.denon.jp/ja-jp/shop/usbdaconverters_ap/dp400_ap

Regaのプレーヤーってどうよ?

あまり聞いたことのないメーカーではあったが、Regaは創業以来ターンテーブルの生産、開発を40年以上続けてきた英国のブランドだそう。 Pure Audio VGP 2022を受賞したRegaのターンテーブルの入門モデルが価格的にもお手頃で良さそうです。
主な特徴は、

・トーンアーム:35年の歴史をもつアーム開発技術と3D CAD&CAMテクノロジーの融合により理想とする形状
・ドライブ・ベルト:上位モデルに搭載されている Advanced EBLT Drive Beltを採用。耐久性で50%、ワウ・フラッターで35%性能が向上。
・キャビネット:優れた免震構造を実現したウッドキャビネットを採用、同価格帯では抜きんでた防振を実現
・プラッター:硬度と剛性に優れたフェノール樹脂を使ったカスタム仕様
・24V 低振動モーター:上位モデル同様、AC24Vモーターを搭載。

出典:https://kanjitsu.com/product/planar1mk2/

音質重視であることがうかがわれる。
操作ボタンが無い分、デザインもシンプルで良い。

出典:https://kanjitsu.com/product/planar1mk2/

Rega Planar1 mk2 BLK を買ったよ

DENON DP-400はカセットコンロのようなダストカバーが許せない。それ以外は申し分がなく、普通のカバーだったら即決してた。
一方のRegaは完全マニュアル操作。でも、音質に関係ないものは全て排した潔さが気に入った。デザインも良い。
で、結局 Rega Planar1 mk2 を購入することにした。

で、使ってみてどうよ?

スマホをBluetoothでつないだストリーミング音源と比べると、Regaで再生したレコードの音は確かに良い(と自分には感じた)が、マニュアル操作が想像以上に面倒くさい。
電源スイッチを入れるとターンテーブルが回転しだすが、トーンアームはピクリとも動かない。マニュアルなので当たり前だが、手でレコード盤の上まで移動、アームリフターを下げて針をレコード盤に落として再生が始まり、レコード再生が終わると手動でトーンアームを戻し、電源スイッチをOFFにしてターンテーブルが止まる。
42年前のフルオート機能はボンタン1つでこれらの全てをやってくれた。なんて便利だったのか、としみじみ感じた。
あと、不便だなと思ったのが33/45の回転数を変えるスイッチが無いこと。どうやって切り替えるのかといえば、なんとターンテーブルを外して手動でベルトをかけ変えるという原始的な方法。33回転のLPを聴いた後に45回転の12" EPを聴こうとすると非常に面倒くさいし、回転数が正確なのかはなはだ疑問。日本のメーカーなら絶対に採用しない方式ですね。

プーリーにかかるベルトをずらして回転数を変えます。

音楽を”聴く”には良いと思います

そんな不便さが嫌で、レコードから扱いが簡単なCDに、さらにはストリーミングになってメディアさえ無くなり、お手軽になったのは確かなのですが、音楽が垂れ流し状態になってしまいました。
Regaを買って、アナログレコードを聴く手順がこれまで以上に面倒くさくなってしまいましたが、音楽をじっくりと”聴く”には逆に良いのかなとも思います。レコードを聴くことはたまにしかないので、「レコードを聴く」ための儀式、執り行う作法と考えれば、それもまた一興ですね。


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