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「意味を 求めるのを やめろ」という意味のタイトルの映画に意味を見出した

2021年12月31日、とある映画の日本での配給権が期限切れとなった。映画館で見ることのできる最後のチャンスを逃すまいと、年の瀬の押し迫った日に京都の小さな映画館へ足を運んだ。その映画は「ストップ・メイキング・センス」。1985年に日本で公開された、米国のバンド「トーキング・ヘッズ」のライブ映画。

36年前に公開されたときにも映画館で見たのだけど、白人男性が映画館でスクリーンを見ながら踊り狂ってた。それが気になってしょうがなかったせいもあるけど、映画の内容は全然覚えていなかった。そもそもストーリーがないので記憶に残りにくいのだが。
で、今回久ぶりにこの映画を見て思ったのは、映画館の大きなスクリーン、大音響で見るべき映画だなぁ、ということ。

昔からライブやコンサートの模様を映像化したビデオやDVDなどは沢山ある。昨今ではリアルタイムに配信し、映画館で見るライブ・ビューイングという形式のイベントもある。でも、「ストップ・メイキング・センス」はそれらのライブ映像とは一線を画していると思う。

それは、後に「羊たちの沈黙」を撮ったジョナサン・デミが監督した”映画”だから。

ライブ映像なので、ストーリーもセリフもナレーションもない。トーキングヘッズのメンバーが演奏をしているステージの映像が流れるだけ。言ってみれば、これはドキュメンタリー映画であり、大抵のドキュメンタリー映画がそうであるように、その映像には作り手の意思が込めらている。

このドキュメント映画の対象は、トーキング・ヘッズというバンドのステージであり、それ自体が演出(選曲、舞台装置、照明、音響、衣装、そして演奏)されたショーである。
それを別のクリエーターが何台ものカメラで映像に記録、編集して再構築するという二重構造の演出を経ることによって、僕らは映画館という場で、コンサート・ホールでよりもショーを楽しめることができる。

なんて素敵な映画なんでしょう。

しかし、日本国内での映画館での上映はしばらく無さそう。下手すると一生無いかも。
ということで、上映してくれてありがとう 京都みなみ会館

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