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ローカル局の価値はマーケティング力で高められる〜北陸朝日放送の挑戦


中部6県での流通連携企画PoCを実施

3月7日にScreesにこんな記事が出て驚いた。

石川県の北陸朝日放送(HAB)は、テレビコンテンツと店頭サイネージを連動させた販促企画に取り組んできたが、商社やデータベンダーも巻き込んで中部6県でのPoC(概念実証)を実施した、という内容だ。取材に答えているのはエリア・イノベーション推進室の伊藤祐介担当部長とある。
伊藤氏とは4年前に名刺交換し、先日の能登半島地震についての情報収集の際にもやりとりさせていただいている。なんと、こんな進んだ企画を他のエリアも巻き込んでトライしているとは!
記事にはカスタマージャーニーとファネルの図も出てきている。

今回のPoCの流れをカスタマージャーニーで示した図(伊藤氏作成)

私はかねてよりテレビ局もファネルを意識すべきだと考え、講演などでも何度か訴えてきていた。私が広告業界に入った80年代にはAIDMA理論を教わったものだが、ネットマーケティングではファネルがよく使われる。大きく見れば似た考え方で、広告コミュニケーションには順番があり、テレビCMで注目させ、新聞雑誌広告で興味を引いて欲求を持たせ店頭で買ってもらうというもの。ネットでは認知から購入まで段階を分けてコミュニケーションを完結させることも可能だ。

筆者が講演用に作成したスライド

テレビ局はファネルの上部を握っているのだから、何らかの手段で中位下位のファネルとも連動できれば、非常に強いメディアになる。「認知から購入までカバーします」と言えれば、広告主には響くはずだ。
北陸朝日放送での伊藤氏のトライは、まさにそれを具現化するものだと言える。とっくにやっていたし、他県にまで広げる取り組みもしているとは。さっそく直接お話を聞いた。
Screensの記事でも座組みの中の具体的社名などは書かれておらず、今回の取材でもNDAの関係もあり同じだが、取り組みの具体は聞くことができた。伊藤氏の言っていた中でいちばん印象に残ったのが、タイトルの言葉だ。「ローカル局もマーケティングで価値を高めることができる」。その通りだと思う。

10数年取り組んできた店頭との連動

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