Masanori Tatani

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最近の記事

【論文紹介】何が鳥の飛行の多様化を可能にしたのか?:小翼羽に注目して

はじめに今回、鳥の小翼羽という羽の形態に関する論文を出版しました。その内容を日本語で解説します。この内容はバイオロギング研究会報No. 206に掲載されたものと同じものです。 自律的に長距離を高速で飛行するという鳥の大きな行動的特徴は、今日に至るまで多くの人類を魅了してきました。鳥の飛行やそれを実現する翼はしばしば自由の象徴として捉えられ、さまざまな場面で象徴的に扱われます。例えば自由への渇望を歌う有名な合唱曲のタイトルは「翼をください」ですし、夜間の野外調査の心強いサポー

    • 2023.9.6

      睡眠を削ってハードワークしたり、ストレスフルな環境に身を置いてシビアな仕事をしたり、朝早く出て夜遅くに帰ってきたり、といった働き方が「正解」で「よい」ものだと思っている節が自分にはあって、その呪縛がなかなか抜けない。もちろん人にその考えを押し付けるつもりはないし、逆にハードワークしてる人は悪だというつもりもない。多分ずっとハードワークをしていた父を見て育った(最初の三つ全て当てはまっていた)ので、無意識レベルの考えに植え付けられてるんだろうな。 具体的に言えば朝6時に起きて

      • 買ってよかったもの2021

        先日先生がドタバタと廊下を走っているのを見かけて12月になるとマジで師匠が走ることに気づきました。 最近買い物をすることの楽しさを理解してきたような気がします。今年買ってよかったものを主にamazonの注文履歴から紹介します。 <野外調査関係> ペンライト 色とりどりに光って振るタイプのペンライトではなくペン型のライトです。バンディングの際に年齢判定のために鳥の虹彩色を見ることがあるのですが、常に同じ光源の元で見たいなと思い先輩バンダーにおすすめされたのを購入しました

        • 鳥屋的営みと鳥類学研究の繋がり

          鳥学会2021年度大会に参加していました。オンラインだったものの企画・運営の皆さまの工夫やご尽力により大変楽しく満足度の高い大会でした。 私は今年は大した研究発表はせずに他の方の研究を見て回ったり、久しぶりに会う方に懇親会で声をかけたりする方に徹していましたが、その中で気づきのようなものを得ました。 それは、いわゆる「鳥屋的営み」は鳥類学研究の裾野を広げる行動だったのだなということです。ここでいう鳥屋的営みとは、ある仮説を検証するために野外に出てデータを取る研究者的な営みで

        【論文紹介】何が鳥の飛行の多様化を可能にしたのか?:小翼羽に注目して

          小笠原における調査時の靴底洗浄について

          Twitterで「冬の時期にバードウォッチングをした時に、鳥インフルエンザなどの拡散防止の観点から靴底や三脚の脚、車のタイヤなどの消毒をするのが好ましい」という話を見かけました。去年の11月終わりから12月の半ばまで小笠原で生物調査をしていたのでそういえば…と思い、関連して小笠原での事例を紹介します。 小笠原諸島はその固有な生態系の価値が認められ、2011年に世界自然遺産に登録されました(http://ogasawara-info.jp/sekaisizenisannoka

          小笠原における調査時の靴底洗浄について