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【洋書多読】Miss Daisy is Crazy(177冊目)

先日『Miss Daisy is Crazy』という児童書の洋書を読了しました。今は、オリーブで有名な瀬戸内海の島「小豆島」に来てこの原稿を書いています。

最近随分忙しくさせて頂いているおかげで、若干身が入らなくなりつつある多読。寝る前の僅かな時間を削って読んでいるのですが、寝落ちしてしまう日々です。

そこで、うんと簡単な洋書を読むという「パンダ読み」という作戦で、この苦境を乗り切ることにしました。先日はルイス・サッカーの名作『Marvin Redpost』を読み、その前の日は『The Storm』という、ネズミと犬と猫の家族のお話を読みました。

そして先日木曜日、大阪での滞在最終日の前日の夜に、やはり眠い目をこすって大阪市福島区のゲストハウスで読んでいたのがこちらの『Miss Daisy is Crazy』というわけです。

やっと出会えた『Miss Daisy is Crazy』

実はまだ多読をはじめて間がない頃、SSS英語多読研究会さんのHPでこのシリーズの存在を知ったのですが、どれだけ『My weird series』で検索してもヒットせずに、ずっと読まないでいました。

当時はまだ純粋に英語力が低かったので、自分にも読める、ドタバタ系のおちゃめな感じの洋書を物色していたんです。あまりシリアスな物語って、このくらいのレベル感の英語に合わないような気がして(合うのもありますけど)。

でもなかなか見つからず、というか見つけるのが下手くそでずっと出会えなかったこの本に、ようやく齢46にして出会うことができました。

今となっては、時間があったりしたら絶対に読まないと思われるジャンルの児童書だけど、このタイミングで出会えたことには、ちょっとした運命のようなものを感じずにはいられません。

ドジな先生を生徒たちが助ける、っていう話の経糸・シチュエーションも、なんだか英語を指導している今の僕の琴線に触れるような感じがして、途中で一瞬寝落ちしまっていたけど、楽しく最後まで読み進めることができました。

『Miss Daisy is Crazy』と『二十四の瞳』

本書は僕がいつも参考にさせて頂いている矢月さんのブログによると、YL: 2.5、総語数: 6,420だそうです。

難しい単語がそんなに頻出するわけでもなく、リラックスして読めますが、英文法なんかはやっぱり仮定法とか分詞構文とか、そういうレベルのがでてきますから、やっぱり初学者にとってはタフな洋書になるのかも知れません。

それにしても「あまり賢くない先生を生徒たちがみんなでサポートする」という設定って、何か心が暖かくなります。

今僕は香川県の小豆島というところにいます。壺井栄の『二十四の瞳』の舞台になった島です。

『二十四の瞳』の大石先生も基本的にはドジで、現代だったら確実に保護者からクレームが出てクビになるタイプの教師です。

でも、この『二十四の瞳』て「教育とはなにか」について結構示唆に富む内容を含んでいるように思われて僕は好きです。

教師って、「生徒が知らないことを知っている」という存在ですが、それはきっと博覧強記の秀才だけがなれるものじゃないと思うんです。ジャック・ラカンの言葉を借りれば教師とは「知っていると想定されている主体」であればいいんです。

『Miss Daisy is Crazy』のDaisy先生も、最初は生徒たちからバカにされていますけど、「実はこの人、アホなふりをしているだけなんじゃないか?」と生徒たちが疑い始める頃から、お話が一気に加速していきます。

そして生徒たち自身の力である種のアチーブメントを達成するところでお話は終りとなるわけですが、この間、Miss Daisyは別に何もしていません。相変わらず「アホ」のままです。

でも、この読み書き計算も満足にできないと思われているMiss Daisyは、生徒の持つポテンシャルを最大限に引き出すという教師に最も求められている成果を出しています。

『二十四の瞳』も、説話構造は全く同じです。こちらは小豆島の美しい自然を背景に、あちらは小学校をゲームセンターにしたいという野望を持つ少年が…と、見かけは全く似ても似つかぬお話ですが、ここにはおそらく人類が「教育」ということを始めたときから無意識のうちに積み重ねてきた「成功体験」が通奏低音として流れていると思います。

だからきっと、『二十四の瞳』がそうであるように、『Miss Daisy is Crazy』もまた、きっと多くの人々の琴線に触れる、優れて示唆的な物語だと思うんです。

というようなことを、瀬戸内の真珠と呼ばれるこの島で、海を見ながら考えたりしました。

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