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カルトに だまされないために全国霊感商法対策弁護士連絡会 弁護士 久保内浩嗣さん〜すべてがNになる〜

2022年8月6日【くらし】

 霊感商法など反社会的活動を続けている旧統一協会(世界平和統一家庭連合)の実態が、徐々に明らかになっています。正体を隠しての勧誘や強引な布教で、人を違法活動に巻き込む「宗教団体」=カルトは、気づかないうちに忍び寄り、あなたやあなたの家族を狙っています。社会経験の少ない若者が気をつけることは―。全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属する弁護士、久保内浩嗣(ひろつぐ)さん(東京・田村町総合法律事務所)のアドバイスです。

正体隠して勧誘 高校・大学生ご注意

 カルト団体に入ってしまうと、あなたの人生はもちろん、家族の人生も大きく狂わされます。

 ▽自分の考えよりも教義を優先する考えになる▽就職先を団体に決められる▽収入のほとんどを献金させられる好きでもない人と結婚させられる▽子どももその団体の信者にさせられる▽両親やきょうだいとの平穏な家族関係が破壊される▽もともとの友人関係が破壊される―などの被害にあうことがあります。

被害者が加害者に

 そして、被害者だったあなたが加害者になります。正体を隠して他の人を勧誘したり、だましたり、脅迫して献金させたりする加害者になってしまうのです。

 カルト団体の多くは、「正体を隠した勧誘」で、高校生や大学生を新たな信者として獲得しようとしています。正体を隠さないと誰も入らないからです。正体を隠した勧誘は、皆さんの信教の自由(宗教を信じるか信じないかを選択する自由、宗教団体を選択する自由)を侵害する違法な行為です。

 スポーツサークル、ボランティアサークル、ゴスペルサークル、ヨガサークルなど、カルト団体はサークルを装って近づいてきます。国際交流、SDGs(持続可能な開発目標)、ゴミ拾い、高齢者支援などの活動をしているカルト団体もあります。例えば、旧統一協会の学生団体は、「原理研究会」(CARP=カープ)や「UNITE(ユナイト)」といった名称で、ボランティア活動や政治運動を行っています。

 若い皆さんとは、SNSを利用して人間関係を築こうとします。皆さんのTwitterなどから個人情報を収集する、頻繁に「いいね」ボタンを押す、皆さんの反応を待つ、DM(ダイレクトメッセージ)を送ってやりとりをする、LINEでやりとりをする、リアルな面談に誘い出すなどです。大阪大学や九州大学が、勧誘の手口の動画をYouTubeで公開しているので参考にしてください。

違和感の原因調べ

 正体を隠して勧誘されるので、皆さんはその団体がカルト団体かどうか判断できません。でも、“違和感”をもつ瞬間がどこかにあるはずです。

 ▽サークル名が頻繁に変わる▽活動拠点がメンバーの自宅▽メンバーが集団生活をしている▽あだ名で呼び合い本名を教えてくれない▽OBや社会人が頻繁に参加する▽成人メンバーがいるのに飲酒・喫煙をする人が全くいない▽恋愛の話題が全くない▽他の人にサークルの話をすることを禁じるなど―。違和感を大事にしてください。

 違和感の原因が何なのかを整理し、調べ、解消しましょう。それは自分1人では難しいです。家族、昔からの自分を知っている中学校や高校の同級生、信頼できる友人、大学の学生支援課などに相談しましょう。困った時に相談できる親族、信頼できる友人などの人間関係を、日頃からつくっておくことが大切です。

 家族など周りの人が「おかしい」と思ったら、本人を問い詰めたり、無理やり脱会させようとするのはやめましょう。家族だけで脱会させることは困難です。大学の学生支援課、日本脱カルト協会(カルト対策学校ネットワークを運営)、全国霊感商法対策弁護士連絡会などに相談してください。

■全国弁連の連絡先

 全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、旧統一協会による「霊感商法被害の根絶」と「被害者の救済」を目的として1987年5月、全国の約300人の弁護士が賛同して結成された会です。

 電話相談先 毎週火曜日 電話070(8975)3553、同木曜日 電話070(8993)6734。時間は両日とも午前11時~午後4時。

 問い合わせメールアドレスreikan@mx7.mesh.ne.jp

 詳細は全国弁連ホームページhttps://www.stopreikan.com/


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