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手を繋ごう

嬉しいことがあった。
子が久しぶりに手を繋いでくれたのだ。

一か月くらい前だったか
一度繋いでくれたけどすぐに放されてしまって
余計に淋しい思いをさせられたのだけど、
今日は正味5分くらい繋いで歩き続けてくれた。

——嬉しい

コロナ禍に入る直前
あまり手を繋いでこなくなったなと感じていた。
年齢的にそろそろ卒業だろうから
今のうちにたくさん繋いでおこうと
思った矢先に外に出られなくなってしまった。

自宅でスキンシップをとるのと
外で手を繋いで歩くことは全くの別物で、
出先でこそ味わえる喜びがある。

しかし外出しなければ
そんな喜びは得ることができず
親の心の準備もままならない。
このまま終了かと肩を落としていた。
例え一緒に外へ出られたとしても
ソーシャルディスタンス的には
いかがなものかと迷いもあった。

久しぶりに手を繋ぐと
幼少期と比べてしまって
——大きくなったな
——がっしりしたな
なんていつも成長を感じる。

小さな子どものように、
親に全てを託しているときのように
しっかりと握る感じは全くなくて
(小さな子どもは半ばぶら下がるように
手を繋ぐからものすごく重い)
自分の足で歩けるけど
——繋ぎたくて繋いでる
そんな優しい握り方だった。

恥ずかしさもあるみたいで
指がそわそわしているし、
突然マッサージなんてしてくるし。

私も強くは握り返せなくて
されるがままになって
嬉しさを噛みしめていた。

なんでしょう、
この付き合う前なのか
付き合い始めたばかりなのか
そんな初めて手を繋いだ相手との
どきどきする甘酸っぱい感じは。

まともに顔を見れず、
付かず離れず
そっと手を握り合う。
そんな時間もあるのです。

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