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日の光と

まだ夜が明けぬうちに起き出して、リビングのカーテンを開ける。
外は暗く、とても朝だとは思えない。

家中がまだ寝ている間に、食器を片付けたり、軽く掃除したりと家事を始めていく。
それから朝食とお弁当を作って、家族が起き出し朝食を摂り始めれば、私の手は少し空く。
一息ついてふと窓の外を見やれば、世界の色が変わっていた。

季節とともに太陽の角度は変わり、部屋の中まで日の光が差し込むようになった。
太陽の光に透かされて、紅葉が始まった木に生る赤や黄色や緑の葉が、どれもみな輝いていた。
日中公園の側を通れば、今度は大きな木が透かされていて、ここでもやはり葉が輝いていた。

冬が垣間見えるようになって、太陽の有り難みを思い出す。
夏の間はあれだけ避けてきた日向を、今は選んで歩く。
日々の営みは変わらないが、季節が変わっていく。
季節に合わせて生活が変わり、そのときそのときを暮らしていく。

なんでもない日々と、変わっていく季節を愛おしいと思えるくらいに、私は大人になっている。

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