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そこにある役目

年末だから、というわけではないのだけど、片付けを始めた。
溜めに溜めた不要品を断捨離していく作業だ。
主に子どもたちが幼児期の頃の作品を整理することがメインになっている。

子どもが大喜びで持って帰ってきた当時、これらを手放すことなんて考えもしなかった。
ぐじゃぐじゃと何が描いてあるのかわからなような作品であっても、かけがえのないものだった。

しかし子どもは成長するし、親も成長する。
ずっと幼児のままではいないし、幼子の親ではなくなるのだ。
価値観は変わり、求められるものも変わり、関わり方も変化していく。

子どもが成長したなぁと感じるほどの時間が流れて、あの頃手放せなかったものは、今ではすんなりと手放すことができるようになった。
スマホで写真だけ撮って、名前の部分を切り取って、後は折り曲げてゴミ袋へポイだ。

捨ててしまうと何もかもが無くなってしまうようで、もう二度と会えなくなるようで、捨てることができずにいた。
成長過程の間、例え数年誰の目にも触れなくても、存在しているというだけの役目があった。

役目を終えた作品たちの写真を撮りながら、懐かしさに目尻は下がりっぱなしだ。
こんな頃もあったなぁとしみじみ思うのだが、決して戻りたいとは思わない。
不器用ではあったけど、しっかりと向き合ったからだと思っている。

手放すことは時として淋しさを伴うけど、それは決してネガティブなことではない。
今の子どもたちと向き合うための通過点でもある。

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