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ゴールデントライアングルとアヘン

先日ゴールデントライアングルに行ってきました。
ゴールデントライアングルとはタイ、ミャンマー、ラオスの3ヵ国が交わる国境地帯のことを指します。
タイに来てからずっと行きたいと思っていたところの一つだったのですごく楽しみでした。前日の夜はソワソワしてしまい寝付けず修学旅行の前日みたいな気分でした。

なぜ私がゴールデントライアングル魅了されたかと言うと、単に国境というものを見たかったから。日本にいたら味わえない、陸続きの国境とはどんなものなのかを感じたかったからです。

それともう一つ。このゴールデントライアングルはかつてヘロインの原材料となるアヘンの生産地だったことも行きたい理由でした。(注:私は決してヘロインをやってみたいとかいう理由ではありませんので笑)

以前テレビを見ていた時に、ある作家さんがミャンマーの山岳地帯でゲリラ部隊に潜入し、アヘン製造の取材をしているのをみて以来、アンタッチャブルな世界に私の厨二病心をくすぐられ、魅了させられてしまいました。
今回はゴールデントライアングルについて、そしてなぜアヘンがこの地で生産されるようになったかをまとめていきます。

ゴールデントライアングルとは


タイ、ミャンマー、ラオスに跨る国境地帯のことを指します。特に3か国が交わる地点はメコン川沿いは観光地化されており、ミャンマー、ラオスにはカジノがあります。

三ヵ国が交わる地点 左手がミャンマー、右手がラオス


このゴールデントライアングルの地域は山岳地帯で、もともと少数民族が暮らしておりそれぞれが独立した自治権を主張し、反政府活動が行われていました。このように地理的、また政府の統制が取れていない地域であるため取締りが出来ずアヘンの密造地帯となっていました。
以前に比べればかなり生産量は減っていますが、多い時には年間3,000tonが生産され全世界の60%はこの地域で作られていました。

ゴールデントライアングルの位置関係


何なぜ世界最大のアヘン生産地に?

アヘンが作られるようになった背景には中国で起こった国共内戦まで遡ります。
当時中国は毛沢東率いる共産党と蒋介石率いる国民党が争っていました。
結果は毛沢東率いる共産党の勝利となり、敗れた国民党は台湾や香港に逃れていきました。
その中にミャンマーやタイ北部に逃げてきた人たちもいました。彼らはいずれ共産党と戦うための軍資金集めとしてこの一帯でのアヘンの栽培を始めました。そしてここらの地域に住む少数民族解放運動に加わっていきました。

その後、麻薬王と呼ばれたクン・サーと呼ばれる人物が登場します。彼は中国人である父とミャンマー人の母との間に生まれました。
16歳のころ小さな部隊を立ち上げます。
彼が住む地域では中国共産党の支援を受ける反政府組織が活動していたためビルマ政府に協力し戦闘に参加します。
この時の功績としてビルマ政府より報酬を得ます。それを利用し軍隊強化やアヘン栽培へ注力していくようになります。この時に精力的にアヘンの栽培に力を入れていきました。この時彼の部隊は800人にまで膨れ上がりました。



その後、影響力を徐々に拡大していき独立軍を立ち上げるまでの大きさになりました。この時にはもうビルマ政府への協力は解消していました。
そして拠点をミャンマー北部からタイへと拡大していきます。
タイはアヘンを海外へ輸出する物流の拠点としての役割も兼ね備えていました。タイの国境警備隊に賄賂を渡し、密輸するルートも確保していました。ここで生産されたアヘンはアメリカや欧州、アジアへと密輸されていきました。

30年にも渡りゴールデントライアングル一帯は政府も介入できない彼の麻薬王国となり、100億ドルも稼いだといわれています。
また彼の軍は1万~2万の兵力を保有しミャンマー軍ですら持っていない兵器を持つほど兵力・財力がありました。そのため、ミャンマー政府もアヘン栽培を取り締まることが難しく、無法地帯となっていきました。
アメリカ政府からも睨まれ200万ドルの懸賞金がかけられました。

今のゴールデントライアングル

タイ

タイでは取締りの強化によりほとんどアヘンの栽培行っていません。タイではかつてアヘンを栽培していたところにコーヒーなどを栽培させるロイヤルプロジェクトがタイ王室主導で行われてきました。今ではタイ国内でも有数のコーヒー産地となり近年注目を浴びています。

アヘン栽培からコーヒー栽培へ

https://note.com/ossan_neko/n/n99d8762e706a

ラオス

ラオスでもアヘンの栽培は減ってきておりますが、未だ根絶までは到達してません。そして今では中国資本によるカジノ経営に力を入れてます。建物も何処かマカオのカジノに似ている感じがします。この地域は経済特区として解放しており、海外からの旅行客をもてなしています。特に中国系のお客さんが多いよようで、中国語が一番目立っておりました。
しかし黒い噂もあるようで、このカジノ一帯のオーナーである中国人は野生動物の違法取引や薬物密売などにこの地域を利用させている疑いがあります。カジノの近くにある中華街では虎の肉が食べられるそうです。

左の建物がカジノ 右が建設中のホテル


ミャンマー

しかし、ミャンマーは今でもアヘンの栽培を行っているところがあります。ミャンマーでは今でも山岳地域には独立を主張するかも少数民族がおり資金集めとしてアヘンの栽培を行っています。今でもミャンマーとラオスで合わせて年間700トン以上のアヘンが作られていると言われています。
そして毎日アヘンを背負い、山を越えてタイへ密入国してくる者が後を絶ちません。そのため国境付近では国境警備隊が常に監視の目を光らせており、緊迫した空気が流れています。
今でもミャンマーで作られたヘロインはオーストラリア、ニュージーランド、中国、日本と言った地域に密輸されているそうです。

興味ある方はこちらのYoutubeに今のゴールデントライアングルの現状が説明されてます。※閲覧注意

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