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国境で飲むコーヒー

コーヒーと聞いてタイをイメージする人はあまりいないでしょう。
しかし、近年タイの北部ではコーヒー栽培が盛んに行われています。
ミャンマーとタイの国境沿いの山奥にある山岳民族の村までわざわざコーヒーを飲むためにいってきた旅行記です。

国境の村 パーヒー村

今回訪れた場所はパーヒー村と言う所で、タイとミャンマーの国境にあるタイ側の村です。山岳民族のアカ族が暮らしています。
タイ最北部のチェンライ市内から車で約1時間半ほどの場所にあるのでタクシーをチャーターし行ってきました。
村は山奥にあるので、道中は曲がりくねった山道を進みます。私は少し車酔いしました。

曲がりくねった山道を経てパーヒー村に到着
パーヒー村は山肌に沿って作られた村です

ここはミャンマーとの国境が近く、今でもミャンマー側で栽培されたアヘンを密輸してくる人を取り締まるため、国境警備隊をよく見かけました。パーヒー村に着くまでに検問所が3か所あり、毎度パスポートで身分確認されました。また道中はタイとミャンマーの国境沿いの道を通ります。道路沿いに柵が設けられ、その柵の向こう側はもうミャンマーです。
目と鼻の先に別の国があるというのは日本に住んでいると考えられないことで、すごくワクワクしました。

柵の向こうはミャンマー

村に到着するとすぐにコーヒー豆を天日干ししてるところを見かけました。
少し村を歩いてみると至る所にコーヒーの木があり、まさにコーヒーの村でした。村自体はこじんまりとしていて、歩いて回れます。高床式の昔ながらの家々や、舗装されてない道、そこら中にニワトリや犬などの動物が駆け回っている姿を見ると、昔にタイムスリップしたような感覚でした。

コーヒー豆を天日干しにしてます
村を歩くとその辺にコーヒー豆がなってました
のどかな街並み


アヘンとコーヒー

タイでコーヒー栽培が行われるようになったきっかけはアヘンと関係があります。
かつて、この地域はミャンマー、ラオスと共に数十年前まで世界的なアヘン栽培地域で有名なゴールデントライアングルと呼ばれていました。

ミャンマー、ラオス、タイが国境を接するゴールデントライアングル


この地域は熱帯雨林の山岳地域のため人目に付きにくかったり、反政府組織が支配するため政府の統制が取れないことなどの理由で盛んにアヘンを生産していました。タイでの生産はかなり減ってきているようですが、ミャンマーではまだアヘンを栽培しているところもあるみたいです。

山の向こうはミャンマー


その後アヘンへの取り締まりが厳しくなり、これまでアヘン栽培で生計を立てていた農家は立ち行かなくなっていきました。特に山岳民族のアカ族はアヘンの栽培で生計を立てていたそうです。
そこで代わりになるものとしてタイの王室が主導してコーヒーの栽培へと移行していったきました。そのためタイ北部ではコーヒー栽培をしている農家がいくつもあり、チェンライ、チェンマイなどの都市では数多くのカフェがあります。カフェごとにオリジナルコーヒーを提供しているところが多いので、カフェ巡りも楽しいと思います。

国境で飲むコーヒー


パーヒーコーヒーという所を訪れました。村に入ってすぐのところにあるカフェです。まず目に入ってくるのは目の前に広がる景色です。2つの山に挟まれた谷間が見え、まるでこちらと、向こう側を分け隔てる大きな扉のようでした。そして村を一望でき、下からは村中を駆け回るニワトリの鳴き声が聞こえてきます。

絶景を見ながらコーヒーを舌鼓


さてコーヒーの味ですが酸味が強め、フルーティーでスッキリとした味わいでした。私の好みの味でしたが好き嫌いは分かれる味かもしれません。

ただこの絶景を目の前に飲むことでコーヒー本来以上の味わいを体験することができました。
国境と言うと物々しさを感じところではあります。実際ここに辿り着くまでも銃を持つ国境警備隊などに何度もチェックされました。
しかしパーヒー村それまでの雰囲気とは一変し入った途端、のどかで平和な世界が広がっており、いつまでここに居座っていたくなる感覚になりました。

村中に歩き回るニワトリの声を聴きながら、絶景を目の前にここだけゆったりとした世界が広がっていました。コーヒーを只々飲む瞬間はなんとも心地いい時間でした。何時間でもそこにいれる何とも言えない格別な時間でした。

まとめ


コーヒーを飲むためだけに山道を超えわざわざ来る価値のある場所だと思います。曲がりくねった山道、国境の物々しさ、のどかなパーヒー村、そして絶景を見ながらその土地で採れたコーヒーを飲む。これら全てを含めとても貴重な体験を味わうことができました。
コーヒー好きな人ならもちろん、そうでない人でも楽しめること間違いと思います。
なかなか来ることは難しいところですが、チェンマイ、チェンライなどの北タイを旅行することを計画しているなら、その一つに加えると旅がより一層旅らしくなること間違いなしです。

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