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インターネットドラマの流儀はこれからつくられる〜北欧、暮らしの道具店のドラマによせて〜

先日公開された、『北欧、暮らしの道具店』が製作したショートドラマ『青葉家のテーブル』を見ました。インターネットの、しかもECの会社が自社でドラマを作る時代になったことに感動しています。

まずは30秒の予告編を見てみましょう。

・自分たちの世界観を立体化して伝えること。

・既存のメディアを使わなくても、自分たちでつくって届けることのワクワクさ。

・ROIにとらわれない、自分たちのメッセージとして製作していること。(結果としてモノも売れるようになってるみたいだけど。)

素晴らしい試みだなあと思います。

本編はこちら。

⻘葉家はちょっと複雑だ。シングルマザーの⻘葉春⼦(⻄⽥尚美)、その息⼦のリク(寄川歌太)、春⼦の歳の離れた友達めいこ(久保陽⾹)とめいこの彼⽒ソラオ(忍成修吾)が同居している。⻘葉家の家訓は「何をしてもいいから、夜ごはんは家族そろって」。今⽇もテーブルを囲んで⾊んな話をする。春⼦は “中学2年で友達0⼈・思春期まっただ中のリク” の⼦育てに苦戦しつつも楽しんでいる。そんなある⽇、リクが「学校に⾯⽩そうな⼦がいた」と⾔い出し……。

繰り返し見れる映像作品とは

映像がよいのは、写真や、文章での説明だけではこぼれ落ちてしまうものを掬い取ることができることだと思います。

僕はこの作品の幸せな17分を、のめり込んで見るんじゃなくて、眺めるように見ていました。

これまで、「なんとなく北欧」という世界観が素敵だなあ、と思っていたのですが、この作品で描かれているのはあくまで「北欧的な」くらしのエッセンスがベースにある上で生きる人達だと思います。

店長のこのコメントはまさにそうで、

それは大好きな映画やドラマを、ことあるごとに繰り返し観るという習性。なんとなく疲れてしまったとき。自分のことさえよく分からなくなって気持ちがシュンとしてしまったとき。わたしにはそんな場面で、まるで処方薬のように観ている大好きな作品がいくつかあります。何度観ても沁み入る台詞や音楽があったり、小道具やスタイリングがツボだったりして自分の「好き」の軸を取り戻せたような感覚を与えてくれる世界がそこにあるからこそ繰り返し観てしまうんだと思います。

インターネット動画の流儀になんてに合わせなくていい

この作品は、設定が複雑だ。シングルマザーの春子(西田尚美さん)と、その息子。そして春子さんの友人カップルが同居するシチュエーション。この事情をのみこむには相応の時間がかかると思われます。

「インターネット動画は最初の15秒で掴め」、なんて言われたりもするけども、そもそもこの尺のドラマでそれは難しい。いつものように、自分たちのファン向けに作品を届けるならば、掴みに時間をかけてもお客さんは逃げたりしない。ヒットさせるというよりは、お店に置いておくような、カタログのような作品。

※もしかしたら、設定は映像内で無理に説明せず、サイトなどで補完して貰えばよい気もしました。(映像作品単体として考えなくてよいなら)だって、ストーリーを伝えきるというよりは、この世界に浸ったり、何度ももどりたくなるような時間が素敵な作品だったから。

このドラマはファンに届くのか

どうやって再生されるかでいうと、今回配信しているプラットフォームがYoutubeなので、『北欧、暮らしの道具店』が得意とするファン向けのInstagram、facebookのリーチがうまく生かせないという悩みはありそうだなあと思いました。次の作品以降、ドラマでも、コンテンツの次は、ディストリビューション戦略を考えていくフェーズになるのかな。日々のSNSポストやインスタのストーリーのようにフラッシュマーケティング的じゃなく、初(?)のストックコンテンツとして機能するといいのかな。

※以前、僕もYahoo!さんのお仕事で平山あやさん主演のショートドラマ(現在はプロモーション期間が終了したため公開終了)をプロデュースしたのですが、YouTubeを置き場所にすると、どうしてもファンに届けるのに難しいところがありました。流通に関しては、工夫のしがいがありそうです。

おわりに

12年前、テレビでドラマができなくて、インターネットの世界に移ってきた僕としては、なんて素晴らしい時代になったんだと感激しています。僕だったらどうするかな、ってつい考えてしまうくらいの魅力的なプロジェクトなんです。

たくさん、好きな作品が積み上がって行くと思うので、次回作も、その次も、ずっと期待してます。

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