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秋の夜長のお供たち:秋らしいお酒

 お酒はいつの季節もすばらしいけれども、秋の夜長に想像してしまうのも、私はやっぱり晩酌である。昼間に日差しのまだ明るい中で飲むお酒は信じられないほどおいしいけれど、夜とっぷりと日が暮れた中で、くたくたの服とブランケットに包まれて飲むお酒もほっとするおいしさがある。特に涼しい日の晩に、少し開けた窓辺であればなおさら。

 秋は夜風も湿っているのに涼しくって本当に気持ちがいいので、お酒がぬるくても冷たくてもあたたかくてもおいしいのが素晴らしい。涼しい風の中で少しあたたかな恰好をして、お酒で体の内から温まってくると、しみじみと満たされてしまう。しみじみと満たされるとき、ああ人生ってなんていいものかしらと思うのだ。本当に幸福な時はいつも熱烈な興奮ではなくしみじみと胸の暑さを感じる気がする。

 ところで季節のお酒って色々でるけれど、春と秋は格別に種類が豊富に思う。春はお花見の季節だからか、ビールも酎ハイも、特にカンカンのお酒は季節限定をたくさん見かける。秋はもっと種別豊富にお酒が回る。ひやおろしを始めとした日本酒も、紅葉のプリントされた缶ビールも酎ハイも、そして11月解禁のボジョレーも!

 でもやっぱりお気軽な晩酌ならカンカンのお酒が一番いい気がする。
家出くるまって飲むのも楽しいけれど、コンビニで買った感のお酒片手に家まで歩くのも気持ちいいのが秋の夜だから。秋の晩酌なんてそれこそ気軽な感じが一番だ。食欲の秋でちょっと間食が増えるみたいに、気軽に冷蔵庫から取り出せるのだっていい。とはいえ私がいつも取り上げるのはネットで買えるものだ。せっかくだからやっぱりちょっとカンカンよりは気軽じゃないお酒の話にしたいと思う。

 秋のお酒と言えば、やっぱり日本酒じゃないかしら。だって秋はお月見の季節である。イタリアンにはワイン、中華料理なら紹興酒、おだんごなら日本酒だ。それだけじゃない。秋はお米の収穫の時期だ。実りの時期に下ろされた米由来のお酒って、すごくロマンチックだ。豊穣の神にお米とお酒が捧げられるのもなんとなくうなずける。大体日本酒はとろりとしているので、飲み口が涼しい夜にぴったりだ。
 見つけたのはこの飲み比べセット。

 入っているのは「越路吹雪 秋あがり 純米吟醸酒 」「大地悠々 大吟醸」「越路吹雪 吟醸酒」「越路吹雪 純米酒70」「越乃銀紋 白露」の五つで、すべて300mlと飲み比べにちょうどいいサイズ。新潟の高野酒造さんのお酒なのでまずはずれはないでしょう。

 次に気になるもの、これは秋の果物のお酒。
秋の果物と言えば私は梨と信じて疑わないので、梨のお酒をいくつか紹介したいと思う。

 これは梨のリキュールで、しかもスパークリングだそう。リキュールは甘くて飲みやすい上にスパークリングならなおのことしつこさもなく、誰でも好きになるんじゃないかしら。これは評価もいいので一度飲んでみたい気がする。

 でもスパークリングが苦手な人にはこっちの方がよさそう。これは友人からの紹介である。その子は男性だけれども、とろっとしていて果物の生絞りジュースのようらしい。みずみずしい梨の匂いがして人工的な香料の嫌な感じがなく、梨好きにはたまらないそう。

 でも私が一番気になるのはこれ。

 ずばり、エリック・ボルドレ ポワレ・オータンティックというらしい。洋ナシの微発泡酒で、フランス産の辛口ワインのくくりになるそう。どうしてこれが一番気になるかと言うと、「辛口」だから。
 上の二つは甘口でしょう。お酒が苦手だけれど酔うのは好きなお友達にはぜひとも振舞ってあげたいし、甘いお酒とフルーツが好きな知り合いにはプレゼントしてあげたいけれど、私は辛党である。だから実際にのむならやっぱりこっちが気になるの。
 洋ナシは夏の果物だけど、あのあまくて柔らかい匂いが私大好き。秋の涼しい夜に洋ナシのスパークリングワインなんて、ちょっとロマンチックじゃないかしら。



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