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憂鬱な週末

それは、気圧の変化とともにやってきたのか、
今日の雨だって、いつものそれより冷たく感じてしまう。


僕は、三十代の半ば頃に、大きな病気を患ってからと言うもの、
薬の副作用の影響を受け、心の中に、鬱に入る扉ができてしまった。

とはいえ、例えその扉が起きぬけに開いたとしても、
その暗闇に落ちていきそうな感覚を、

「アンニュイ」

と言うフランス語に落とし込んで、
お洒落な響きの中に溶け込ませてしまう。

そんな時にかける音楽は、

ドビュッシー
ビル・エバンス
荒井由美 etc...

他にもあげていくとキリがなくなるので、
だいたいこのあたりの雰囲気から音楽を選ぶ。

それから少し贅沢に、コーヒーメジャー2杯分の珈琲豆を電動のコーヒーミルで挽くと、ゆっくりと時間をかけて、点滴を落としていくように静かにお湯を注ぐ。

湯気と共に立ち上る、甘い珈琲の香りに合わせて、
その時、その瞬間の憂鬱を、抱きしめるように感じていく。


こんな僕にだって、嫌な感情や、恥ずかしくなるくらいくだらない想像を、
我を忘れるくらいに考えてしまうことがあるんだよ。けれども、理由はどうあれ、それも大事な自分自身から生まれた、掛け替えのない魂の欠片なら、無理やりになかったことになんて、したくはないのだよ。

僕は易経を学んでいることもあり、常日頃、心の軸はいつでも中庸に置いている。
だから、よっぽどのことがない限りは、例え鬱が夜更けに襲いかかろうとも、
そんな簡単に揺らぐことはないんだ。それが、この週末はどうもそうはいかない。


気圧のせいにしてしまいたい。冷たい雨のせいに。


君に逢えないと言う、ただそれだけことが、
これほどまでに僕の世界を揺るがせてしまうのか・・

せめて、明日の朝は、珈琲の飲めない君に合わせて、
マリアージュフレールのアールグレイでもいれよう。

私の為に注いでくださった想いは、より良い創作活動への源泉とさせていただきます。こうご期待!!