起きた時間が8時
大学生の頃の旅行の話。
長野の伊那市という所に住んでいた親友宅まで、東京からヒッチハイクをして行ったことがある。
バックパッカーに憧れがあったわけでもなく、旅の経験が多い訳でもない私が何ゆえヒッチハイクをして行ったのか。
伊那市まで一緒に行く旅のお供がいたからだ。
小野ちゃんという男の子なのだが、小野ちゃんは旅のプロだった。(勝手にそう思っている)
彼はヒッチハイクで全国旅をしており、海外への渡航経験も豊富だった。(たぶん)
小野ちゃんに関する情報が曖昧なのは致し方ない。彼は私の親友の、友人であって、2人だけで話を交わしたことなんて殆どなかった。
そんな絶妙な関係の、男女2人でヒッチハイクが出来たのは完全に若気の至りだ。今でもそんなワクワクする出来事があったらいいのに!
とはいえ、私だったら男女でやっているヒッチハイカーなど、乗せたくないが。。
真冬に行ったのが吉日。道路でポツンと凍えていたから、流石に訳ありにでも見えたのだろう。
あの時乗せてくれた皆様。この場を借りて、本当に有り難うございました。
なんとか、たどり着いた親友宅。
翌日は三人でワカサギ釣りをして、温泉街にでも行こうと話していた。8時に起きる約束をした。
翌朝、旅の疲れと冬の寒さで、私達は一向に目を覚ませなかった。
目覚ましが鳴る、誰かが止める。
誰かが言う「起きた時間が8時だよ。」
そんな魔法みたいな言葉を3人で繰り返した。
結局起きた時間は覚えていない。だって、起きた時間が八時だったから。
私たちの八時は世間の八時とズレていたので、
家を出た頃には商業施設はクローズタイム。
ワカサギ釣りには行けなかった。
旅の大体の記憶は高速道路を走る車の中。エレカシの俺たちの明日を大声で歌った。サービスエリアでワカサギチップスを買って食べた。どこにも行かない時間を、ただ楽しく過ごした。
今でも休日は、起きた時間が八時である。
ゆっくり朝ごはんを食べて、朝風呂に入り、髪を整えた時には、外は夕焼け。それでいいのだ。そんな休日がとても気に入っている。
追記、旅の終わり小野ちゃんとはすっかり友達になっていた。
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