天神橋筋商店街をトイカメラ片手に歩いてみると。
残暑の厳しいある日、大阪を訪れていた。降り立ったのは日本一の長さを誇る天神橋筋商店街。何も分からんが、とりあえず歩いてみようと、トイカメラ片手に歩いたのである。
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天神橋筋商店街とは
ともあれ、読者にとって何もわからん場所を歩いているレポートは苦痛であろう。先んじて簡単に天神橋筋商店街についてまとめてみたので、どうぞ。
エリアごとの飾りに、歩きながらキョロキョロ
午前中はまだ人もまばらで、開いていない商店も多い。だが、さすが商業の街・大阪。個人商店がこんなにも並び、かつ人間の気配がある商店街は久しぶりだ。なんだか懐かしいような気分に浸りつつ、北上する。
幹線道路を横断すると天神橋2丁目の入口が。なんだこれはと思わずパチリ。入口の上にある人形は、天満祭の御迎人形をかたどったもの。お祭りになると舟に人形を掲げて、神様をお迎えするのだそうだ。
3丁目、通称・天三までやってきた。アーケードの天井にはいくつもの鳥居のオブジェが。南から順に真朱(しんしゅ)、桔梗(ききょう)、浅葱(あさぎ)、萌黄(もえぎ)に塗られた鳥居が街を彩りを添えているという。
暮らしが積み重なり風習となり、そして歴史になる。その上を歩いているのだなと、商店街を歩きながらふと思った。
毎週食べたい「たこ焼き道楽 わなか」のたこ焼き
とある筋から聞いた、めちゃうまいたこ焼きこと「たこ焼き道楽 わなか」。小腹が空いたので立ち寄りハイボールと頂く。
一口食べればクリーミーでとろっとろな生地が香ばしく口に広がる。ん、んまい!優しい白出汁ととろける舌触りが素晴らしいですね。ソースとマヨネーズのコクも加わり、こりゃあ絶品でございます。
……などと、冗長な敬語になりながら食す。これは本当にうまいし、週一回食べたい。いいなぁ大阪、至る所にたこ焼き屋があって。
商人の街を全身で感じて
次は、こちらも何かと聞く「スーパー玉出」。ネーミング&外観からパチンコ店かと思ったが庶民的スーパーである。激安価格が目玉のお店として話に聞いていたので立ち入ってみた。
ところが、意外と一般的な値段であった。普段わたしが自宅付近の激安スーパーをよく利用するから感覚がおかしいのだろうか。
値段はさておき、生鮮食品から惣菜まで幅広く大量に種類が置いてあり、とても活気があったのが印象的だった。お客さんも店員さんもみんな元気でいいな。
さて、少し進むとJR天満駅に到着。
駅前には立ち飲みが店が立ち並び、日曜の昼からヤンヤと賑わっている。あそこでちびちびやってるおじさんも、あそこでママチャリを押しているおばさんも、これが日常なんだろうな。知らない町に訪れるとき、わたしはいつもお邪魔させていただいているような、借りてきた猫のような気分になる。
あ、あれは大好きな激安自販機だ!
左から三番目の黒烏龍茶が本当においしい。みんな飲んでくれ、おすすめだ。黒烏龍茶というだけでヘルシーな気がするし、なんせ100円だ。プラシーボ効果を信じてガバガバ飲んでいきたい。おいしいし。
商店街は若干道幅が狭くなり、より密度が増してきたように思えた。時間帯も昼を過ぎ人手が増えてくる。五感で大阪の商店街を堪能する。探偵!ナイトスクープで観ているあの世界感が広がっている。
大阪くらしの今昔館でタイムスリップ
六丁目を歩いていると、The観光客向けの「住まいのミュージアム 大阪くらしの今昔館」を見つけた。知らない土地の博物館に前情報なく入るのが趣味でもあるので、迷わず入館。さて、どんな博物館かな……あらっ──!!
\タイムスリップしちゃった〜!!!/
……しょうもない冗談はさておき、なかなか興味深い施設であった。9階の展示室は全体が1830年代の大阪の町屋を再現したエリアになっており、タイムスリップしたような感覚を味わえる。
商屋の賑わいや庶民の暮らしなどを観ることができて、なかなか見応えがある。わたしが訪れたときには訪日外国人が多く、浴衣体験をしながら写真撮影を楽しんでいた。
また会う日まで、さいなら〜
脚にも疲労感が溜まり、帰りの時間も近づいてきたので、今回の遠征はこれにておしまい。
わたしには大阪出身の知り合いや友人がいる。彼らが語る大阪は、何とも濃密で人臭くて、ソース味のする街だった。
確かに彼らの言うとおりだった。
わたしが歩いた大阪も濃密で人臭く、ソース味がした。ふとした風景や街角は、歩かなければ出会えなかった情景だった。
きっと今後の人生でも、お上品な白出汁と特濃ソース味が恋しくなるタイミングがあるだろう。今回は新喜劇も観られなかったし、ユニバだって行けなかった。だからまた近い未来に来るのだろうな。
というわけで大阪よ、また会う日までさいなら〜。