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推しを祝うイベントを開催してみたら起業がしたくなった話 1


開店3分前

開店3分前。
ヒリヒリとした気持ちでわたしは最後の装飾品を飾り終えた。
店の前にはすでに長蛇の列。ガラス越しでもお客さんの熱い視線を感じる。

早くから並んで待ってくださってた方
SNSで「絶対行きます!」とメッセージをくれた方
この日を楽しみに遠方から遥々来られた方
そんなみんなの期待に応えられるようなイベントにしたい…

店のドアが開いた瞬間、多くのお客さんが店内へと押し寄せた。
一人、またひとりとカップホルダーのついたドリンクを手に、装飾された店内を見て回り始める。
「可愛い〜」「素敵」
慌ただしく動き出した店内の一番片隅で、ぼーっと同じファンの方々を眺めながらその楽しそうな顔や声を聞いてホッと胸を撫で下ろす。
どうにか開店前には装飾し終える事が出来て良かった。

コロナ禍でLIVEもなくなり、同じファン同士で会える機会がほとんどない中、ずっと一人で推し活をしてきた方たちは多い。
そんな中、こうして推しでいっぱいになった空間を同じファン同士で喜び分かち合えたその時間は、わたしにとってこれ以上なく幸せなひとときだった。


カップホルダーイベントとは?

馴染みのない方に説明すると、わたしが開催したこのイベントは「カップホルダーイベント」というものだ。
主催者が推しを応援する為に自費でカップホルダーや装飾品を作ったり買い揃え開催するイベントで、主に推しの誕生日を祝う為に開催される事が多い為「センイル(韓国語でお誕生日)イベント」とも呼ばれている。

主催者はカップホルダーを作ってそれをカフェに委託、店内の装飾も手がける。
カフェはそれ目当てに来店したファンにそのカップホルダーをつけてドリンクを販売。
ファンはドリンクを買う事で店内の装飾を見て歩いたり写真を撮る事が出来るというそれはそれは楽しいイベントで、K-POP界隈独特の文化だ。


ジェットコースターな日々

このイベントの存在を知ったのは、開催の3ヶ月前。
友人から誘われてノリで「やろうか?」と言ったら、時間がなさすぎて毎日が激務過ぎた。
毎日何百通も友達やお店とやりとりし、毎日何かしらの作業に忙殺され、果てしないタスクを積み上げた末になんとかギリギリ開催に漕ぎ着けたのだが、辛い以上に
もうなぜだかその準備が
楽しすぎた。
それを何がどう楽しかったのかを言葉にするのは難しい。
良い事も困ったこともたくさんの事が起こり過ぎて、それを一言で言うと
予想外過ぎて毎日がジェットコースターだったのだ。

このイベントには1500人以上の方々にご来店頂き
カップホルダーは2000個以上お持ち帰り頂き
認証ショット(来店を証明する報告ツイート)は200件以上投稿頂いた。

多くの方々にご協力頂けたことで開催に漕ぎ着け、みんなで盛大に推しをお祝いする事が出来た。
しかもな、なななななんと最終的にその様子を推しのご家族にも報告する事が出来た。

わたしたちがイベントを開催した事で、こうしてみんなの気持ちが一つなれた事がたまらなくエモかった。
「推しをみんなで祝いたい」
その気持ち一つでみんなが集まり、一緒に盛大にお祝い出来た事は、ほんとにエモいとしか言いようがなかった。


この気持ちをもっと、みんなで共有したいな。



わたしが推し活にハマったきっかけ

ある日、なんとはなしに音楽番組を見ていたらある男性グループのパフォーマンスが目に留まった。
陰鬱な地下世界を模したセットを背景に、彼らは一糸乱れぬダンスを披露していた。
その迫力と完成度にわたしは並々ならぬ強い意志を感じ、気づいたらわたしは
彼らがこれまでどれだけ真剣にこのパフォーマンスに心血注いできたのかという事にまで想いを馳せていた。

上目遣いでこちらを見据える彼ら。
その眼光は鋭く、画面の向こう側にいるわたしは正に「射抜かれた」と感じた。
それからわたしがそのグループを推し出すのに、そう長い時間はかからなかった。

彼らは努力家で、才能に溢れ、ビジュが良くて、性格も良くて…

はぁ。尊い…


この一人では抱えきれないドデカ感情を吐き出すためにわたしはすぐに推し活専用のSNSアカウントを開設、ファン同士が交流する場へと飛び込んだのだった。



様変わりしていた推し活界隈

誰かを推すのは学生の時ハマってたB'zの稲葉さん以来のわたし。
SNSの登場ですっかり様変わりした現代の推し活事情を目の当たりにし度肝を抜かれた。

リアルタイムで発信されてくる膨大な情報
出し惜しむ事なく毎日供給される推しの貴重な写真や動画
急に始まる双方向のライブ配信
それに同じファンから発信される内容も凄かった。

同じ推しを応援する者同士の絆は深い。
翻訳のない動画をすぐに翻訳してくれる人
毎日流れていく情報をまとめて分かりやすく発信してくれる人
推しの癖やエピソードなどを面白く編集して笑わせたり泣かせたりしてくれる人
一斉投票や動画再生を呼び掛けて推しを一位にしようと呼びかける人
みんな互いに助け合い、出来る事をやり合って、ファンダムを運営しようとしている推し活女子の利他的精神はほんと…すごかった。
みんなで助け合ってる推し活コミュニティってばなんて尊く美しいの。

その後わたしもブログで情報を発信したり、SNSでも自分に"刺さった"事なんかを言語化して発信するようになったところ、時流に乗って運良くとんとん拍子でフォロワーさんが増えていき、
一万フォロワーを超えた頃わたしは、界隈ではちょっとした有名アカウントになっていた。

自慢じゃないけど、一つの投稿に対して500いいねなんてザラにつく。
こんなのどんなにフォロワーの多いアカウントだって一般アカウントではあまり見かけないでしょう。
ところがそれが推し活界隈だと本当にみんな、良くバズってる。


推しが同じ者同士リアルタイムで共有しているコンテンツが同じだからこそ、共感も早ければ興味関心、感動するポイントも同じだったりしていいねがつきやすい。
だから尊いが限界突破して溢れ出た推しへの愛をつぶやくと
「そうそう、ここ良かったよね!」
なんてすぐに一緒に盛り上がったり、みんなからポジティブな反応がたくさん貰える現代のSNS推し活は楽しすぎた。
自分の発信にたくさんのいいねやRTがつくってやっぱり嬉しい。
時には本当に心のこもったコメントをしてくれる人もいて、
かつてたった一人、授業中にB'zの稲葉さんへ溢れ出る愛を泣きながらノートに書き殴っていたぼっち推し活時代のわたしを思うと、今の推し活ってばなんて豊かで広がりのあるものになったのだろうと感動。



「バズる」をみんなにも体験してほしい

それと同時に思ったのが、「"バズる"って結構再現性あるんじゃないの?」という事。
同じグループを推し合うSNSコミュニティ(ファンダム)は案外狭くて、そして優しい。
さっきも書いたけど、みんな専用アカウントを作って運用しており、リアルタイムで共有しているコンテンツやイベントがあるからこそ発信に対するエンゲージメントが非常に高く、いい投稿は即座に共有されいいねが凄い勢いで伸びていく。
この「バズる」を他の人にも体験して貰えるような仕組みが作れたら、もしかして面白い事業になるんじゃない?

そんな思いつきから、わたしは「推し活女子の応援発信がバズる」仕組みの事業化を思いついた。

だってバズるって、そのコミュニティのみんなを楽しませたり、貢献したり、喜ばせられたってことでしょ?
そうゆう発信を作るの自体も楽しいし、それがみんなの役に立てたり喜んでもらえたらもっと楽しい。
そうゆう心がワクワクホッとするような体験を、他の推し活女子とももっと共有出来たら絶対楽しい。

そう例えば、わたしたちが開催したようなイベントがもっと手軽に楽しく開けるようになれたら…‥?

想いだけが先走り考えのまとまらない頭でクラクラしながら、
わたしはとりあえず一緒にイベントを開催した友だちに
「わたし、起業してみよっかな」とつぶやいてみた。


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