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プロペラ犬「僕だけが正常な世界」

水野美紀ワールドに来た…!

難しさと供給過多で一回では深くまで自分の中に落とし込めないもどかしさが逆に何度も何度も見たくなる。
今回もそう思わせる作品でした。

初見は、前情報ほとんど入れないまま観劇したのですが、「ヒキゲキ」と同じ現象起きました。時間軸が目まぐるしく移動するから途中で追いつけなくなるんです。
今回は「ヒキゲキ」よりわかりやすく描かれてましたがたまに現実なのか、過去なのか、ミチルの中なのか、夜の妖精が見せる幻想なのか…色々な視点で話が進んでいき、感情が迷子になりました。

ミチルに共感できる部分もあれば、ミチルの両親のように傷つけてしまっていることもあるんだろうなとグサグサ刺さる。
そして思いやりある元気とあかり。役名の通り、ミチルの希望になっていたらいいなと思う。

ミチルと空気の息子は別人なのに重ねて見ている描写で、本当は息子なんじゃないかって錯覚を起こしかけた。そのくらいあの瞬間、空気だけはミチルと正面から向き合う努力をしていたと思う。どう向き合ったらいいかわからない。でもミチルの押し付け合いを間近で客観視した空気はこのままではいけないと行動した結果が錯覚を感じさせたのだと思う。

あかりが死んでから壊れてしまった元気の家族。
元気はミチルの理解者でありながらも、辛く当たってしまうシーンも…。それでも「こういう時はそっと肩を抱くもんだよ。」と優しさを教えて、きっと家族の前では我慢してた涙をミチルの前で見せたのは、自分の居場所はここだと、ミチルの居場所は僕(元気)と示したシーンではないかと思いました。

ラスト、蛍の光のシーンもみんながミチルに残したたくさんの希望。ハッピーエンドだったらという回想シーン。なんで最初からみんな幸せになれないんだ。物語を通して見たあとのあのエンディングは残酷すぎた。
(クリスマス当日に見たら本当に胸が張り裂ける)

周りが異常だと思っても、人の数だけ正常な世界が存在する。
生きるってことは思っている以上に簡単じゃない。同じ人は存在しない独りきりだとしても、一人ではない。そう信じて生きていきたい。

キャストの感想

・宮下さんと鳥ちゃんの立ち回りは流石だった。私の好きな2人の役どころはピンと張った糸をたまに緩めてくれる。
・楓馬くん演じる元気も、大迷惑の時とはまた違う初見で小学生くらいかな?とわかる子供を演じていて幅の広さに毎回驚かされます。
・安里さんは極端な人たちぶり。あの作品もこの作品と少しリンクする部分があるなと思った。
・主演のつばさくん。カミシモや怖い絵でしか見た事がなく、割と素に近い感じイメージがあったから今回の役どころは本当に新しい一面と可能性を感じました。

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