おしえてハカセ 組木博士からのごあいさつ

 はじめまして。僕は組木という名前で、印刷やデザインに関するお仕事をすこしやらせてもらってるものです。

 今日、大阪では、同人誌を売る大きな即売会があったそうですね。猛暑の中参加された方はおつかれさまでした。そういう即売会が年に何回も行われて、個人で本を作っている人がたくさんいると教えてもらって、びっくりしました。不勉強で恐縮ですが、同人誌というものがあることを、同僚の縫山くんという男の子から伺いまして、僕らもそういうのを作っている人と、たのしくかっこいい本を作るためのお手伝いができるのじゃないかということで、こういう企画をはじめました。


 経緯としては、縫山くんとちょっと飲んでたところ、僕のする印刷まめちしきみたいな話がたいへん彼にウケまして、

「そういう話をネットに上げてお金儲けたらいいじゃないですか!」

 って言うんですね。

 でも本当に誰でも知ってるようなことだと思うんですが……。

 縫山くんは同人誌を作る女性に縁が多く、コミケというのにも行ったことがあるそうです。国内最大級の即売会だと伺いました。

 印刷に対する関心が高いアマチュアの方に、特に女性が多いというのも切々と聞かされました。

 「モテましょう」と「儲けましょう」をその三倍くらい言われました。

 僕はこれまであまり女性と親しんでいないので、失礼がないかどうか心配なのですが、いま、これだけインターネットが発達している時代、それでも印刷を特別なことだと思って選んでいるクリエイターの皆さんのお役に立てればうれしいです。

 「絶対に博士と名乗るように」という指示は縫山くんのお姉さんによるものです。僕は本当に別にどこにでもいる技術屋でしかないんですが、そういう感じの名前をつけた方がいいというのはなんとなく把握しました。あまりにも把握度が低くてうまくお話ができるか本当に不安なんですが、やるかぎりにはできるかぎりのことをやろうと思います。

 なお、収益は6:4とのことです。


 さて、この企画でどういうことをお話することができるかについて少しお話しておきます。

 「箔押し」というものはみなさんご存知でしょうか。

 「活版印刷」というものを聞いたことはおありでしょうか。

 僕はこういうものに主にかかわる仕事をしています。僕にとってこれらはかなり日常的な存在です。皆さんにとってこういったものは、どういう立場の存在でしょうか。

 いま、箔押しは新しい機械が出ていて、以前より安く、かつ、細かいものを作れるようになっています。

 網分解した二色刷りを、一版はインキで、もう一版を箔押しにして刷ってみるということもできます。最近写真から起こした版も箔押しにすることができるようになってきたので、いわゆるスクリーントーンみたいな表現も箔でできるようになっていて、作家さんには面白いかもしれません。

 そのほかに、読者の方にお話したいこととしては、モアレと線数と角度を使ったかっこいいデザインのお話です。

 インターネットに慣れている方はフルカラーで色を塗るのが当たり前の方が多いのではないかと思うんですが、印刷加工に特に適したデザインというものもあります。本を作るとき、そういうことを意識してみると、せっかく印刷をするのだから印刷ならではの仕上がりになって、たのしいのではないかと思います。


 そのほかに、聞きたいことがあったらいろいろ質問をしてください。

 僕が答えられないことは、あるいは縫山くんが答えられるかもしれません。彼は百均で買ってきたよくわからないものでよくわからないものを作るのが趣味で、それを買われてときどきお姉さんのコミケの服を作る手伝いをしたり、お姉さんに頼まれて一緒に着たりしているそうです。

 加工所に出さない、手作業の製本の話などは、縫山くんのほうがくわしいと思います。


 そんな感じです。こういうことには不慣れで恐縮ですが、皆さんのお役に立てればうれしいです。


組木容

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