第一の相談メール「オールキャラギャグ20年選手より、箔押しってどうやって使えばいいんですか?」

 はじめまして。

 かれこれ20年ほど、二次創作でギャグマンガを描いています。一応女性向けかなーとは思うんですが、色気のないオールキャラギャグです。男性の読者さんもぼちぼちいらしてくださってありがたいなーと思ってます。

 本を作り始めたころは色上質にスミ一色だったんですが、ジャンル効果もあったのか、だんだんそれなりに売れるようになって、表紙にお金がかけられるようになってからはフルカラーのセットにしました。

 それで15年くらいやってたんですけど、今かなり人気のあるジャンルにいて、pixivでもブクマたくさんいただいたりして、いままでより手に取ってもらえるようになりました。かなり刷ってもちょっと足りないかなくらいになっちゃって、うれしいんですけど、黒字が出るとなんか、申し訳ないんですよね……。二次創作だし、作って売って回収できるくらいでいいんじゃないかなーと思って、もうちょっとお金かけて本つくってもいいんじゃないかと思うようになりました。でもお金のかけ方がわかりません。

 こんなにみんなに読んでもらえるんだからなんかもっと、表紙とかもいいかんじにできたらいいんだけどなー、特殊加工とかしてみようかなーと思うんですけど、でもバカみたいなギャグに箔押しとか大げさじゃないのかなって思ってます。あと、わたし絵柄がちょっと古臭いというか、べたっとしてるというか、暑苦しいのが悩みです。夏だし爽やかな感じにしたいんだけど、紙選びとかでなんとかなるもんでしょうか。それもあって箔押しとか、金色なんか使うと、めちゃくちゃ暑苦しくなりそうで、びびってます。

 もうひとつ相談があるんですが、実はフルカラーを塗るのが苦手です。表紙を作るのはスミ一色でやってた頃のほうが楽しかったんです。でもフルカラーの方が手に取ってもらえるなとは思ってるので、頑張って塗ってるんですが……。二色刷りとかもやってみたいと思ってるんですが、何をどうしたらいいのかわからないままです。そもそも、二色刷りっておしゃれなものを描いてる人じゃないとやっちゃいけない気がする!

 たくさん質問があってすみません。よろしくお願いします。


―――おしえてハカセ!―――


組「縫山くん、例のハカセのメールを拝見しましたが……」

縫「あっ、どうでした~?」

組「申し訳ない、僕の読解力の問題だと思うんだけど、あまりにも難しかったので、解説してもらってもいいかな……?」

縫「そんな難しかったですか? まあいいや、順によんでいきましょ~か」

組「質問していくのと上から読んでいくのとどっちがいいかな。えーと、まず、二次創作っていうのはこのあいだ話した、ジャンプとかの漫画とかで、えーとスピンオフ的な作品を自主制作することだよね」

縫「そうですそうです。いいですねー。覚えが早いですねー。さすがですねえ~!」

組「あ、ありがとう……『オールキャラギャグ』というのは何ですか? わかるようでわからない。ギャグ漫画のことかな?」

縫「そうですね、ギャグマンガで、登場人物がわりと多いってかんじですかね~」

組「わかりました! 僕でも読めるようなギャグ漫画を描いてる方で、色上質使ってたと。色上質はわかります。いいよね、色上質って二種類あるんですが、ぼくは紀州の色上質が好きかな。あと墨インキも今はいろいろあるんです。すごく黒いやつとか、すこし色味のあるやつとか、同人誌の印刷所さんでも使えるところがあるのかな? 色上質墨刷りはベーシックなだけに奥が深いから、それを追求してもいいと思うんだけど、いまフルカラーのほうがポピュラーだし、とりあえずポピュラーな方に行かれたんですね」

縫「そうですね。特にこの人はわりと売れてて、500部くらいはすぐ売っちゃうみたいですね。とくにいま居るジャンルがアニメ化してから人気がより出たってかんじです。あ、ジャンルというのはですね、コンテンツの1タイトルと、そこで二次創作をしている人たちをひっくるめた言い方ですね。『いまこのジャンルにいる』とかいいます」

組「ありがとう! そこが一番わからなかった! なるほど。細かいところはいまひとつですが、つまり商業的に成功して、黒字が出たので、印刷にコストがかけられるようになったというお話ですね。おめでとうございます!」

縫「そうなんですよ。とくに二次創作で同人誌を書いているような方って、あんまりそこで儲けるのに抵抗のある人が多いらしくて。おれなんてはたからみてるだけなんで儲けた~やった~! いえーい! で、いいんじゃないかと思うんですけど、やっぱり人からお借りした作品であるっていうことで、儲けた分、本の加工やノベルティ……、あ、オマケのことなんですけど、そういうのでお返ししたいと思う方が多いみたいです」

組「ふんふん。まあ、精神的なことはあまりよくわかりませんし踏み込むのも何ですが、そこで印刷で遊ぶことを選んでくださるのはありがたいことです。わかりました! ということで、箔押しがやってみたいのかな?」

縫「そうですね。箔押しそのものっていうか、前説明したように、同人誌をつくるひとの中で箔押しがもっともベーシックな加工をして認識されているっていうのがあるとおもいますんで、それ以外にも同人印刷所でできるいい加工があればぜひ教えてあげたいです。それにみんな箔っていうと金とかオーロラとかだと思っているみたいで、カラー箔とかマット箔の認知度って低いんですよ。だからそういうのでおもしろい使い方あったら、ぜひ」

組「この人、カラー箔をセリフとかで使うと格好良くなりそうな気がするなあ」

縫「そうそう、そういうのを教えてあげてください」

組「あとは……フルカラーより一色二色のほうが好き。わあ、僕もそうなんですよ!」

縫「そのへんおれはよくわかんねーんですけど、そういう発想のひとにですね、見栄えのいいかっちょいい本の作り方をね。いろいろあるでしょ、組木博士!」

組「わかりました。ではお返事を考えていきますね。解説ありがとう、縫山くん!」

縫「はい、もう好きに答えちゃってください! 宜しくお願いします!!」


~次回、実践編「組木博士の考える箔押しのかっこよさとは!? 特殊加工ってそもそもなんだろう」~

(※予定は変更される場合があります)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?