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映画鑑賞記録004 「ボーはおそれている」

「ミッド・サマー」、「ヘレディタリー/継承」のアリ・アスター監督×A24の3作目、鑑賞をとても楽しみにしていた。
(ちなみに私はヘレディタリーが大好きだ)

飲み物を控えて、もしもの場合に備えてトイレに行きやすい席を選び…と3時間に及ぶ上映時間に備えて万全の対策で臨んだが、上映が始まると、引き込まれてしまい、時間の長さは忘れてしまった。
4部作でそれぞれのセクションがすべて魅力的なので、まるで別々の映画を4本観ているくらいの濃密さ。
振り返ると、個人的にはファーストセクションが一番ワクワクしたかな。
次から次へとアクシデントに見舞われる様をシニカルに描いているところが、コーエン兄弟の「シリアスマン」と似ていて、その不条理さは誰しも思い当たるだろう、痛くておかしくてあったかい笑みが浮かぶ。

映画の長さと濃密さで感想はなかなかまとまらない。
アリ・アスターのこれまでの作品に共通するテーマ「母親」。
この「毒」は世界共通で人を悩ませ狂わせ、深く長く人生に影響し、我々はその連鎖が縦横無尽に連なる土壌に生きているのだと思うと気が滅入る。
やっぱり自分も鑑賞後は影響受けて、数日参った。
いろいろな意味で母親って狂気だよ、ホラーのテーマとして、ゾンビやお化けよりよっぽど怖い。

今回のイラストは、トニがペンキを飲んで自殺を図るシーン。
ペンキってどんな味するんだろうって想像して苦しくなった。
映画鑑賞において、登場人物の身に起きることに感情を働かせないのだが、なぜかペンキの味を一生懸命想像して口の中に苦いものがいっぱいになり、慌ててシナモンのチュロスをがぶがぶ齧った。

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