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「やりたいこと」などなくていい

「あなたのやりたいことは?」という質問がありますよね。大抵の場合、期待される答えは、夢とかビジョンとかプランみたいな「The やりたいこと」です。でも、そんなもの、ない人はないですよね。むしろ、「当然やりたいことがあるよね?」みたいな謎の圧があることの方がおかしいと思うのです。

「将来はどうするの?」と言われても…

僕は学生の頃、団体をつくってそれをそのまま仕事にしました。

いまだったら社会的起業とか言われちゃうのかもしれませんが、1990年代にはそんな概念は存在しませんでした。それに、僕の場合は「社会、変えてやる」みたいな勇ましいスタンスではなく、就職するのも嫌だったし、やむにやまれず自分で自分の居場所をつくったというのが内実でした。

そんな僕に向かって、「でもさ、そんなんで将来どうするの?」みたいなことを言ってくる人は、少なからずいました。もちろんうまく答えられるはずもありません。「将来は会社を大きくしていくの? 計画は?」みたいなことを言う人もいましたね。

やりたいことは本当にやりたいことなのか問題

もうね、大きなお世話なんです。お前こそ将来どうするんだよっていう感じです。でも、一応「安定しているスタンダードな進路」を自分のやりたいことだと言う人は、社会を味方につけたような顔をして、こういうことを質問してきます。

今も当時と構造は変わりませんから、この手の質問にうまく答えられず、困る人も多いのではないでしょうか。

近年は、若い人の「やりたいこと」の話を聞くことがあります。すごくすらすらと語らえて、計画もしっかりしていて、まさしく「The やりたいこと」という感じのものもあります。

ただ、「この人は、本当にそれをやりたいと思っているのかな…?」と疑問に思うこともあります。プランとしては整っているのですが、まるで他人のプランを説明しているみたいに聞こえることがあるからです。

大切なのは自分らしく対処していくこと

やりたいことがある人もない人も、あまり変わらないと、僕は思います。近年は「好きを仕事に」などと言われていますが、仕事というものをとらえる解像度が低すぎると思います。

たとえ好きなことを仕事にしても、仕事をしていく中で他者や社会とかかわる際に、自分らしく意志決定しふるまうことが出来なければ、意味がないと思うからです。

やっている仕事が「なんとなく流れで辿り着いた仕事」だとしても、ひとつひとつのことに対して、自分らしく対処することが出来れば、自分らしく生きていけます。「やりたい仕事をやるのがその人らしく生きることで立派なことだ」とは思えません。

この変化の激しい時代に、「The やりたいこと」は意外と重荷になるかもしれません。やりたいことがあるのは素敵だけど、なくても全然問題ありませんよね。

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