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カツ丼を届けられるような人になりたい

4月になった。
SNSは新社会人や学生に向けたメッセージで溢れかえった。
説教めいた言葉に眉を顰めつつ、自分はその話しかけられる対象ではないのだということに寂しさを感じつつ、心にぽっかり穴が空いた気持ちで画面をスクロールしていた。

数日前、会社で仲の良い集まりの中の1人の方が会社を辞めることを聞いた。
転職先はその方の希望に合っているようで、本当なら喜んでお祝いの言葉をかけるべきだったのに、なんだかいなくなってほしくなくて嫌だな嫌だなと冗談を交えながら言い続けてしまった。

別に会えなくなるわけじゃないし、また集まりに誘えばいいだけの話なのだけれど、私にとって「好きな集まりから人が抜ける」というのは結構辛いことなのだ。
もちろんその方のこと自体も個人として好きだから、今みたいに気軽に話せる機会が減りそうなことはとても悲しい。
一方で、組織所属欲とか貢献欲とかが生い立ち的にも強い私は、「コミュニティを保つこと」が重要だったりする。だから、余計に辛いみたい。人は物じゃないのにね。

そう思いながら、「まーた私は人と組織に依存していたんだな」と気づいて嫌になった。

最近仕事ですごく悩んでいた。
気づかないふりをしてとりあえず目の前のことを精一杯進めてきた。
そういう時に支えになっていたのは好きな人たちとの集まりだった。

吉本ばななの「満月」という小説で、主人公が一緒に食事をした大切な友達に「一緒にご飯を食べたという思い出があなたの支えになればいい」と願う一節があった。あの一節がとても好き。
あと、その友達にベランダをよじ登ってカツ丼を届けるシーン。あれも好き。

私もカツ丼を届けられるような人になりたい。
人と組織に依存しないで、私が人と組織を支えられるようになりたいな。


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