優しい言葉だけ覚えればいい(第十二次)
人それぞれによって、思い出のある言葉には辞書にない意味がある。経験してきたことが意味を持たせていく。
例えば、東京という地名の持つ意味は、東京生まれの人と、東京に何かしらの憧れや夢を持って出てきた人とでは、重みや含むものが違う。故郷を捨て、東京で出会った人を心から愛したなら、「きみは、ぼくの東京だったよ」という言葉は「きみは、ぼくの全てだったよ」とイコールになる。説明してしまえば陳腐なそれを、たった一言のそれを見つけ、メロディーに乗せて歌えてしまう人を、スパイス程度の嫉妬の混ざった思いで、ズルいと思う。
彷彿 Satoshi OTA 的畫筆注滿了對這個世界最淨的墨。
オオタサトシの筆は、まるで世界で最も綺麗なインクで満たされているかのようだ。
台湾で展示するにあたり、向こうの知人に紹介文を書いてもらった時の一文。それほど期待していなかったというか、ただ日時や場所だけを書いてくれるだけで良かったのだけど、想像以上の文章を書いてくれた。彼女にとっての「オオタサトシ」は、申し訳なくなるくらい、温かい色をしているようだ。これからもその中の文章を紹介していくつもり。
ぼくにとっての「東京」という言葉はどんな意味を持つのだろう。「鳥取」という言葉は、「台湾」という言葉は地名以上の意味を持っているだろうか。これからどんな意味を持っていくだろうか。
ぼくの名前は、ぼくの絵を見る人にとってどんな意味を持っていくのだろう。
新しい絵具を買ってしまいます。