しゃべる画像【ショートショート小説】
「このアプリやばいねん!」
小5息子が、楽しそうに持ってきた。
「みててやー」
わたしにカメラを向けて、1枚写真を撮る。
コソコソとスマホを操作して、
LINEに送ってきた。
動画じゃないのに再生ボタン。
「いいから押してみて」
おそるおそる動画を押すと
『わたくし、
むすこには
あたまがあがりませんの』
と
上品なお姉さんの声がした。
「やばいやんな!50文字なら話してくれんねん」
「話す言葉も変えれるの?」
「うん、入力を変えるだけだし」
「なら、こうしようよ!」
息子と一緒に画像を作った。
カメラを向けても、
素直に笑ってくれず、変顔をするのは
思春期だからだろうか?
変顔の方が恥ずかしい気がするのは、
わたしが大人だからだろうか。
LINEで、その画像を母に送った。
直後に、電話が来た。
「ちょっと!
うかつにも、ナミダ出たし」
息子を顔を見合わせて、ガッツポーズ。
変顔には、ふさわしくない言葉を付けたから。
ーー
ばぁちゃん。
生きててくれて、ありがとう。
ーー
【しゃべる画像】がお題のショートショート。
こんなアプリがあったらいいなぁ。
そのうち作られそうだわぁ、
と思いながら。
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