強さを強要される子どもの話

 男は強さの強要で男になるのだった(今は女も「男性性」にはめられている。もっと言うなら西洋的なものに毒されている。)

 子どもは産まれてくるとびっくりするほど無力です。何も出来ない赤子です。そこへ「強くなれ」や「金を稼ぐのが何よりも大事」などの言葉がどれほど暴力的かどうか検証します。
 実質無力な子どもには「そのままでいいのである」というメッセージが必要です。流行りの自己肯定感はこうして授けられる。しかし、大人は「子どもの時にああしていれば」とかをカジュアルに考えてしまったりするので子どもに向かって過剰に「ああしろ」「こうしろ」と口うるさい親が誕生します。あと世間体ばかり気にする人とか。
 考えるに、それ本当に大切ですか?
 本当に必要なものはあるけれどぶっちゃけ子どもなんだから公共の場で少しくらい騒いでもよくないか?何か困る?そりゃ命にかかわる緊急課題もあるかもだが、英才教育とかは社会的に悪影響でしかないと思う。今は金銭的問題があるから「教育虐待」が出来るおうちも限られますが。
 男の子は産まれて本当にすぐに、やれ「泣くんじゃない」「男だろ」的な責めを受けているので「無力な自分はダメなんだ」と世界が平和であれといった子ども性をも否定します。自分自身を否定して空っぽで辛いので世の中で強者が支配する「善し」とされる自己像に近づこうとします。中身がないのに社会性だけが存在する歪な状態です。他人とのコミュニケーションだって訓練しなきゃ培われないものなのにそれはないことになってます。ってか「皆仲良く」と「自分の欲望を肯定せよ」というアンビバレンツかつ空疎なマニュアル化してる。そこで無理やり上手くホモソーシャルにはめ込めた自己(パズルのピースのようなもん)は一見問題なくそこのレールで行きますが、弱いものを見た時に「自分は世の中で色々犠牲にしてどうにか上手くやってるのにこいつは弱くても生きてる」という強烈な憎悪に襲われます。
 男にとってドラえもんのしずかちゃんのパパが人間に一番大切だと言った「人の幸せを祈り悲しみに寄りそう」態度は軟弱だと一蹴されてます。直視するのが怖い。今のところそれがマニュアルにないからです(ロールモデルとも言う)子ども時代に「大人に見捨てられたら生きていけない」弱者である子どもには「強くあれ!」というメッセージの数々で重大なる子どもの精神の否定をされています。強くなきゃ金を稼がなきゃ必要とされない条件付きの親の愛情という理解で多分それは正しくもあり、昔だったら尾崎豊の世界で大人の言うこと聞きませんよ。大人の都合よくあれだなんて。子どもが子どもでいられない。これが今一番の社会問題であると考えます。
 経済的問題が今一番大切なんじゃ!?と言いたい人もいるかと思いますが善なる子ども性……天真爛漫さの保全をすれば「共助」の目が出てきます。今はキツいかもしれませんが地獄が続くよりはなんぼかマシだと私なんかは思いますしまだ手遅れじゃないとも思います。ただ、政府の偉い人が何もわかってなさそうなので……イラッとしてます。
 私は福祉のお店のプログラムをやっていたことがあるのですが、まだまだ若い男の子が(20代前半)コンビニでの散々なバイト経験からコーヒー販売の係が嫌で他の係だった私に年長の人から「嫌みたいだから代わってくれないか?」と打診され「いいよー」と気軽に代わりました。そうしたらちょっとしてその子(成人してるけど)がやっぱりこっちがやりたかったのかと私を慮り「自分は(ちょっと嫌だけど)コーヒーでもいいよ」と言ってきたのです!普通の現代の社会であれば「嫌だ」と言っても「皆やってる」だの「我慢しろ」だのと無理強いするでしょう。福祉の現場だからの弱者に無理はさせない(あと私のおばさん性)の精神がまだまだ子どもマインドの残ってる人間に他人を慮る精神を発露させたのです。

 これが真の教育ってもんじゃないかよ?

 子どもには、子どもの成長には「愛」ってもんが必要だって話です。
 あと、蛇足かも知れないけど昔友人に女の子が産まれて、3歳くらいの時にその子に会ったのですが、とっても天真爛漫で「可愛いな」と思ったし正直パワーに圧倒されました。その友人は「電車で騒ぐ子どもには絶対しない!」と言っていてその頃の私は正直そんなに深くは考えなかったけど、それから3年後その子は小学1年生となり常に不機嫌で母親に忖度する子どもになっていました。天真爛漫な子ども性を「愛されたかったら私の言うこと聞きなさい」という暴力で残酷にも損なわれてしまったのです。子どもを無理やり社会に適応させようとすると治安が悪くなる。という皮肉な話ですよこれは。それでも子どもに言いたかったら正直に「私が困るから大人しくしてくれよ」って言った方がいいと思います。主語を「あなたのため」ではなく「自分のため」に置き換えるのです(ってか子どもから言えばそうだろとしかいいようがない)それじゃ言うこと聞かない?でも精神的暴力よりマシだと思いますし「私は困るんだ!」とガミガミ言っても子どもは親のせいだって思えるからいいと思うんだけど。どうせ反発してる時はそんなに親の言うこと聞かないんだし間接的に(愛情と思わせてるエゴで)コントロールしようとするのは虐待だよ。不愉快なのはお前のせいって言ってるみたいだよ。子どもだけではなく社会にも禍根を残す。その内親を慮る日も来るでしょう。それが子どもの成長だし、もっと子どもを信用しようぜ。奴らは未熟なところから育つんだから。そしてそれはみんなそうなんだ。

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