見出し画像

生酛純米酒一筋15年【生酛にこだわる理由】3/4

皆さまいかがお過ごしでしょうか
現代初の生酛専門店そして、超希少なBio料理人 店主 おさむ です。
今話題の生酛造り(きもとつくり)の日本酒
「え!あの酒蔵さまが生酛造りでお酒を出したの」
驚く程どんどん銘柄が増えている中で、
特に化学食品添加物をなるべく使わない、もしくは
全く使わない、所謂、「Bio生酛純米酒」に注目していたら
新たな日本酒の時代の幕開けを感じます。
グローバルに動き出した時代の流れを楽しく美味しく
ちょっとチックとお話をさせて頂きたと思います。
先ずは、一献 盃を傾けながら楽しいで頂ければ幸いです。

Part 1、Ⅲ【生酛にこだわる理由】

私が、生酛造りの純米酒系一筋、こだわる理由は、以下の通り
Ⅰ、 ナチュラル製法
Ⅱ、 世界唯一のお酒
Ⅲ、 伝統と継承
Ⅳ、 グローバル化


MOMO Thirteen 純米酒 生酛仕込み

Ⅲ、 伝統と継承
    江戸時代発祥とされ高度な製法を確立し継承されている事
     江戸時代中期から後期にかけて始まったとされる生酛造り。
     当時は、電気もガスもましては、化学薬品、目に見えない
     微生物の概念が無かった時代に平行複発酵と言う
     世界でも類のない高度な製法を無菌室とはほど遠い
     木造の建物内で確立し更に、後世に受け継がれ
     現代でも十分に通用する、いやある意味(ナチュラル発酵出来る
     製法では)これ以上優れた製法が無く、私たちが生酛造りの
     純米酒系を頂けるのは継承あるいは、生酛造りの可能性を信じ
     チャレンジされた蔵元さまを始め、杜氏さま、蔵人さまに
     尊敬、感謝と感動しかない。
     まさに日本人ならではの巧みな技と心意気で、
     これを未来へ世界に伝える事は、当然の事。

現代の生酛表示されている純米酒系は、こんなにあります。

生酛表示があるお酒の分類

生酛造りは、何を持って生酛造りと言えるのかの定義が
定まっておりません。
ある生酛蔵の蔵元さまは、「表示ルールを決めたほうが
飲み手の皆さまにわかりやすい」とおっやられます。
しかし、ルールを決める際、どこで線引きをするか、
細部にわたるルールだと生酛造りを辞める蔵が増え
生酛表示が出来る蔵が、既得権益を維持しようとする。
ルールが緩いとなんでもありとなりわかりずらくなる。
今後の生酛の発展か衰退かそれともルールの抜け穴を見付け
本来の目的とは違ったお酒になってしますのか、
本当に大変だと思います。
私は、表示ルールを決める事は、酒造組合さま、蔵元さま
有知識者さまや財務省さまの方々でじっくりとお考え頂き
それより、これからは、情報開示が当然となるように
飲み手の皆さまが、「米麹の量と質」をどんどん聞く習慣になれば、
情報開示が広がり、蔵元さまがそれを踏まえた上でのお酒造りが浸透し
我々もそれを知った上で応援したい生酛造りを楽しく美味しく
飲んでいただく事が生酛の発展に繋がると思っています。

私は、仕事がら仕入れた生酛表示がある純米酒系の酒蔵さまに
ご連絡をさせて頂き、マニアックな質問をさせて頂きます。
当店で取り扱うBio生酛純米酒系の各蔵元さまに同じ質問を
させて頂き、把握しております。
質問内容は、こちら
 「米麹の量と質」
   酒質と蔵元さまの意思が想定が出来、当然これを聞かなければ
   話になりません。
   実は、もっと深く聞きます。
   種麹の種類と量、製麹時間、温度湿度、
   投入4工程(酒母、初添え、仲添え、留添え)それぞれの米麹の質
 「埋け飯、手酛の工程の有無」
   これで酛摺(もとすり)作業の方法がわかります。
   酛摺作業は、「埋け飯、そして山卸(酛摺)」をセットと私は捉え
   当店の取り扱う生酛造りの純米酒系は、「埋け飯」の工程をする
   お酒を選んでおります。
   「埋け飯、手酛、山卸(酛摺)」一連の事は、
   後の講釈にてお楽しみに
 「汲み水(くみみず)の量」
   この水の意味は、お酒を造る計画時に予定する水の量です。
   これは所轄の税務署に提出する酒類等の製造申込書の記載項目で
   この製造申込書にて酒税が決まります。
   余談1、酒類等の製造申込書の複数の書類の中で
       原料(米)の使用量、麹の使用量、水量、他を
       記入して所轄の税務署に提出しなければならない。
       ですので、蔵元さま、杜氏さまは、必ず「米麹の量と質」を
       知らなければ仕事になりません。
   余談2、お酒造りで水は重要です。工程により呼び名が変わります
       {汲み水}お酒造りの計画の設定の水の事
       {追い水}醪(もろみ)工程でアルコールが早く高くなり
            酵母菌が働きが悪くなったら、お水をいれ
            アルコール度数を下げ、酵母菌の働きを
            良くする為と、醪工程の後半で醪の温度を下げ
            酵母菌の働きを止める為や販売時のアルコール
            度数に落としなじませてから上槽する為(原酒
            表示が出来る)
       {加水}上槽後に商品販売のアルコール度数に落とす為
    余談3、汲み水、追い水までが、原酒表示です。
        加水は、お酒(醪)を搾った(上槽)後に入れるお水
        なお、原酒量の1%以下の加水は、原酒表示が出来るが、
        それを上回ると出来ない。
    余談4、新潟のお酒は、「水のように飲める、何とかは水の如し」
        とたびたび耳にします。そうです、汲み水は他県より
        多い傾向にあります。
 「上槽(じょうそう)タイミング」
    醪を搾って原酒にする作業の事でアルコール度数が
    何度でこの作業をされたかこれにより「日本酒度」が、
    想定出来る事と
    酵母菌の種類まではわかりませんが傾向がわかります。
    香りを出す新型酵母菌(二桁酵母16号以降)は17%以上は
    ご法度です。
    蔵付酵母、一桁酵母菌(協会6号、7号、9号、11号、14号、
    それぞれの泡なし)との区別が出来ます。
    
お気付きかと思いますが、「」の質問の中に酵母菌に種類やお米の種類、
精米歩合(特定名称酒にてわかる)は、会話の中で蔵元さまが、
おっしゃられる事はありますが、私の質問項目にはありません。
これらを聞く事で、何を知りたいかと申しましと
先ずは、化学食品添加物を多用した酒造りか、なるべくそれらに頼らない
酒造りかを判断したい事と
純米酒系は、世界で唯一、アミノ酸(旨味成分)を載せられるお酒です。
旨味成分の強弱で、合わせるお料理を決めます。
前菜には、「突き破精型を使った生酛」主菜には「総破精型の生酛」
ざっくりですが、日本が世界に誇る食文化「旨味のハーモニー」を
最大限に引き出す為です。
これが、生酛純米酒系を選ぶ最大の醍醐味です。
勿論、他にも私が把握したい事はありますが、ご来店頂き
ご興味が御座いましたらお話をさせて頂きます。
この場では割愛をさせて頂きます。
なお、酒質の根幹ですから蔵元さまの方針で社外秘となっている事が
多々あります。
これらの情報を公開するかしないかは、もちろん蔵元さまのご意向です。
しっかりと尊敬と尊重させて頂きます。
そのご意向を応援されるかされないかは、全て飲み手の皆さまに
お任せを致します。
応援されたいお酒を美味しく楽しく呑みましょう。

またまた余談、
  上記に、「投入4工程(酒母、初添え、仲添え、留添え)
  それぞれの米麹の質」と書きましたが、
  以前の記事「Ⅰ、ナチュラル製法」の最後の大七生酛純米酒の
  ご紹介の中で、米麹を造る部屋、麹室(こうじむろ)が
  大七酒造さまは、4部屋あると述べました。
  正に、この質問が、以前に蔵を伺った際に気付かされた事です。
  米麹を投入する工程が、通常の三段仕込みであれば、
  4工程ありそれぞれの工程に合った米麹の質にしている事。
  各地の地酒蔵さまは、ほとんどが一部屋です。あっても2部屋
  通常、総破精型の米麹は、100㎏の蒸し米に対して100gの
  種麹を振り付着させ、部屋の温度を20~25℃、湿度を60%位上げ
  48時間の製麹していきます。
  突き破精型は、100㎏の蒸し米に対して50g 温度を30以上
  湿度を25%位 72時間の製麹時間。
  これらは基本で、蔵元さまの目指す酒質によって種麹量は変わり、
  米麹が出す酵素の力を変えていくと言う事です。
  突き破精型で種麹20gの設定も銘柄によってあります。
  酵素力の弱い設定をする意味は、ここでは割愛させて頂きます。
  要は、総破精型と突き破精型では、米麹が出す酵素の種類も力も
  違います。そして麹室の設定がまるで違います。
  まして生酛造りだけをしている酒蔵さまは、数少なく、
  速醸酛造りや山卸廃止酛、そして、生酛造り、
  もちろん純米酒、吟醸酒、大吟醸酒と言った色々なブランドを
  出すのが、主流の今、それぞれのブランドによって
  麹室の設定をその都度変える事は不可能に近く
  主力商品に使う米麹が中心となってその酒蔵さまの酒質の傾向に
  なっていきます。
  大七酒造さまでは、酒母に使う米麹は、酵素の力が沢山ある
  総破精型を使い、お酒が重くならないように
  だんだん酵素力落としていくそうです。
  最後の留麹は、突き破精型を投入し抜けの良い味に仕上げるそうです。
  それぞれの麹室の設定温度湿度の違いが、入れて頂いた瞬間に
  わかりました。

 「米麹の量と質」が、これからの純米酒系をワクワクさせてくれる
  現代は、米麹の製麹時間、種麹の種類と量の既成概念を覆し
  新たなBio生酛純米酒が始まっています。
  この事も後の講釈にて 

桃黒トンボ 神力純米酒 生酛仕込み


世界中に発酵文化はありますが、日本は少し特殊な発酵文化を
持っていると思います。
それは、麹菌です。
室町時代から「もやし屋」と言い、麹菌を栽培する職業がしっかりと
ありました。
日本の調味料は、この麹菌がなければいけない物がたくさんあります。
和食の基本的な調味料「さしすせそ」砂糖、塩、そして、麹菌を
利用して造る酢、醤油、味噌です。もちろん調理酒、みりんもそうです。
日本酒や焼酎は、酒税法で海外のお酒と税率の区別の為に
麹菌を使用となっています。
以前、WHO(世界保健機構)から日本の使う麹菌が、発がん性物質の発生が疑われ議論になりました。
発がん性があったのは、東南アジアあたりの麹菌類(フラバス種)
日本の麹菌は、(オリゼー種)発がん性は認められないと
発表がありました。
見た目も、属も同じですから疑われてしまったのでしょう。
良かった。歴史が終わるところでした。

追伸、日本の食文化に欠かせない麹菌、国菌となっています。
現代では、使う用途で細分化されています。
お酒でも、焼酎用、日本酒用
調味料でも、お醤油用、お味噌用、お酢用など、
以前は、白麹、黄麹、黒麹とざっくりでした。
白麹、黒麹はクエン酸を増やし、主に焼酎用です。
黄麹が、乳酸を増やし、主に日本酒様です。
ある生酛蔵の蔵元さまは、「細分化される前と後ではの種麹が
の生命力が全然違う、やはり同じ時代を生きてきたもの同志
相性がいいんだね。」と米麹の奥深さを感じさせる
印象的なお話でした。

桃黒トンボ 神力純米酒 生酛仕込み

農醸一体
神奈川県海老名市に位置する
(株)いずみ橋酒造さま
HP https://izumibashi.com/
酒蔵のバックヤードに広大な田んぼを持ち
有機栽培にて酒米を作り生酛造りをしています。
トンボのマークが可愛く有名ですね。
このデザインは、蔵元橋場社長さまの奥様の
デザインです。
お米作りから酒造りまでを一貫し皆さまに
広く愛飲されております。

化学調味料を避けたい方の為の
天然だし和食専門店
ひとしずく
Bio料理人店主 おさむ
https://www.hitoshizuku6.com/passion