![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50616674/rectangle_large_type_2_d044dd3cad27c65d05fe760473e2f443.jpeg?width=800)
『宝の在りか』
朝5時前に、私たちは目を覚ます。私たちの毎日は変わらない。子供たちを起こさないように家をそっと出て、牛舎に明かりを灯す。パイプラインミルカーやバルククーラーの電源を入れ、搾乳の準備を始める。
私たちのやることは、ほとんど毎日変わらないのかもしれない。けれど季節は変わる。移ろいゆく季節に、そっと、少しだけ、足並みを揃える。何故ならそれが私たちの仕事だから。
私の連れ合いが、搾乳をしている。その間、私は、子牛たちにミルクを与えている。
男は夢ばかり見て、荒野へ一億光年分の価値のある宝物を探しに行くだとか、いつもふざけたことばかり言う。けれど私は宝の在りかを知っている。
金星と三日月と牛舎が一列に並んだ。
12月中旬の夜明けは近い。
別海町中春別 小幡牧場にて。
写真 小幡マキ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?