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『戦士の休息』

戦士の束の間の休息。

十代後半に、自由を求めてブラついて、この土地に流れついてから四半世紀以上、雨が降ろうが槍が降ろうが、男は戦う事を止めない。一日でも体を休める事を許さない、許されない。

男はある時、十字路のど真ん中に立たされた。頭の中で何かがスパークした。ガタンと歯車が回る音を、男は聞いた。

それは男が大地にへばりついて、朽ち果てるまで戦い抜く事を決意した音だった。

男は十字路を正面きって突破した。

旅と冒険がもたらす、刑罰と釈放。

臆病風に吹かれて、十字路を迂回した者は、死ぬまで、迷い、逡巡し、劣等感に身を焦がすだろう。

分からない、解らない。死ぬまで人は堂々巡りをするから。

日常に潜む、冒険と自由。男は流れに身を任せると言い切った。

春夏秋冬、季節感を失う程の、目眩がしそうな密度の高い日常。非日常からの解放と戦闘。日常化した戦闘。巡礼のような毎日。

雪解けの、厳しい自然との邂逅の時に、大地に根差し、戦い続けている男に会いに行こうと思う。

写真 小幡マキ


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