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【女子高生エッセイ】『もう高校は恋愛しない!』#沈んで落ちて、転がって⑶
このエッセイは『沈んで落ちて、転がって』という連載作品です。
先に過去の2作を読むことを推奨します(マガジンフォローもお願いします!)⬇️
【沈んで落ちて、転がって〜高校入学編〜】
振られて落ち込んで、色々自分探し(笑)というものをしている間に入学式を迎えた。
自分探しでは、結果論何も変えることはできなかったし、変わることもできなかった。
入学式が終わり見慣れない教室に入ると、高校の説明が始まった。
新しい友達がたくさんできて名前を覚えるのに必死だった。
最初の方は話しかける前に名前を思い出すタイムとして咳き込むというよくわからないルーティンができていた。
大抵、その咳の間に思い出せるのだが、話しかけられた時が問題だった。
咳をするタイミングがないので、上を向いて思い出している可愛くない顔を見られてしまうのだ。
前を向いてたら可愛いのかと聞かれるとそれは別件。
入学式の日で1番焦った出来事も、名前関係。
帰りの廊下で『私の名前覚えてる〜??』と聞かれた時。
頭はフル回転。
えーっとなんだっけ、3文字だっけ?いや、2文字か?
んーっと、今日話したグループの中にいたはずだがら...
いやもう、ここは掛けだ。
顔的にあってそうなの言おう。間違えたら謝る。
お願い、神様。
この間、0.5秒ほど。
「〇〇ちゃんだよね??」
『そう!覚えててくれたんだ!』
はぁーーーーーー!焦った!!!!死ぬかと思った!!間違えない勝負強さ!!!セーフセーフ!!
ギャンブルしてる気持ちってこんなのだろうな。と初めて感じた。
そうして、入学式の日はなんとか乗り切ることができた。
放課後、すぐにクラスラインというものができて、高校生だなぁと他人事のように感じる。
出会いが多すぎて顔を思い出して名前をパッと出す練習をしながら、そういえば男の子と話している女の子いなかったなぁと思う。
中学の男女間の仲が異常によかったものだから、少しびっくりした。
その夜はラインを交換した子達と連絡を取り合って過ごした。
"〇〇です!ライン交換してくれてありがとう!これから1年間よろしくね〜!"
みんなに同じ文を使って、挨拶をして回る。
"中学の時、〇〇部だったよ〜!"
"音楽聞くのが好きかな。"
"なんか教室暑かったねー"
通知がたくさん溜まったが、1時間ほどすると返す気力がなくなった。
一旦、スマホを閉じる。
ラインを見ていると嫌な記憶を思い出す。
振られた時のライン、次の日に変わっていた相手のプロフィールの一言欄。
そうして友達からの言葉を思い出す。
『あいつ〇〇ちゃんと同じ一言に設定してたよ』
最低で最悪な言葉。聞かなければよかった。
少し目が潤んだ。
明日も早いんだし、お風呂入らなきゃ。と立ち上がる。
めんどくさいけど、春休みの気分のままじゃだめだ!と心を鼓舞して準備をした。
少しお湯に浸かってから、シャンプーを2プッシュ。
洗髪中は自分を励ますことに精一杯になった。
泣いてちゃだめだ、前を向かなきゃ。
明日も学校あるんだし、沈んでちゃダメだぞ。
あれ?シャンプー泡立ちすぎてる。
あぁ、髪切ったんだっけ。
次から1プッシュにしなきゃな。
振られてからしばらくして、散髪した髪の毛はセミロングからボブへと長さを変えた。
バッサリショートにしてしまおうかと思ったけど、それはやめた。
振られた時から自分が変わっていくのが、まだ怖かったから。
振られてから、すぐ切れなかったのも同じ理由。
まだ慣れない髪の毛の長さに少し違和感を感じながらもトリートメントを塗って、洗い流す。
丁寧に、隅々まで。
こうすると、自分のグチャグチャな気持ちも綺麗にすすぎ流せたような気がして大分スッキリする。
髪の毛をバッサリ切るのもスッキリするためだと言うし、なんとなくわかる気がした。
ふと、教室で噂に聞いた話を思い出した。
新入生のオリエンテーションのための遠足が男女ごちゃ混ぜの班だったり、体育祭での男女ペアのダンスがあったり...
よく考えると高校の先生たちはカップルがたくさんいる青春というものを促進したいのかもしれない。
勝手に楽しめばいい、私には関係ない。
私は、高校で友達を1番に優先する!!!
持つべきものは友達だよね!
勉強も最初はそこそこで頑張ればいいし、ましてや恋愛なんてしなくていい!
高校の間は、恋愛やめとこうーーーー!!
これからは、自衛しなきゃいけないって言うし...!!
そんなことを考えている時にはすでに、出会っていたのだ。
運命だと思える人に。
いや、言い直そう。
運命だと思えた人に。
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