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日記:映画セイント・フランシスを観たよの巻

こんにちは〜
秋ですね🍠
今日は映画『セイント・フランシス』の紹介を書きます。
もう上映が終わったところも多いと思いますが、興味のある方は是非観てみてくださいね。
画像は公式HPより引用させていただきました。

🌞『セイント・フランシス』


🌈
『セイント・フランシス』は、2019年に制作されたアメリカ映画です(2021年日本公開)。
内容をざっくりいうと主人公は独身でフリーターの30代女性。黒人女性とアジア人女性のレズビアンカップルとその娘のフランシスと出会い、ナニー(子守り)のバイトをしながら、なんやかんやある一夏のお話です。


予告編をみたとき、大人の女性と6歳の子どもの感動の友情物語かと思いましたが、違いました。
調べたら色々出てくるんですけど、この映画には生理、妊娠、中絶、子育て、ジェンダー、年齢、肌の色… など社会問題から日常の些細なモヤモヤまで、色んなタブーの要素が詰め込まれています。あえてひと言でいうなら日常の中の様々な女性のだっっっっっっっる!なことについて、包み隠さず丁寧に軽やかなユーモアをもって描ききっています。
暖かくて、孤独が癒されるような、生きてるだけで偉い!👏と褒めてもらっているような映画です。


🦥
[あらすじ]
レストランのアルバイトをして暮らす、独身女性ブリジット👩🏻‍🦰。年齢や仕事、結婚について周りと自分が比べられがちな34歳。いろいろと不満やモヤモヤを感じつつも、諦観しています。
友達は赤ちゃんのことしか話さないし、昔の知り合いは仕事で成功してる。ブリジットは親に結婚出産を急かされ、年下の彼氏との性交で予期せぬ妊娠、中絶をして不正出血が続くし、冴えない日々…。
レズビアンカップルのマヤ👩🏻とアニー👩🏾‍🦱に雇われ始まった子守のバイトでは、生意気で破天荒な6歳の女の子フランシス👧🏾にめちゃめちゃに振り回されます。
新しい生活が始まっても、彼氏と喧嘩別れをしたり、ろくでなしの男にフラフラ寄ったり、マヤが産後うつになってしまったり。
そんな微妙な日常を過ごしながらも、ブリジット、レズビアンカップルのマヤとアニー、フランシスの関係は、互いに作用しあい美しく逞しく変化していきます。

🩸
この映画の最大の特徴として、これまで描かれることのなかったことの一つであり女性にとっては日常でもある生理が劇中で何度も登場します。
6歳のフランシスは両親のレズビアンカップルからしっかりとした性教育を受けていて、生理についてもちろん知っているし当たり前のこととして認識しています。ただ子どもなので、ブリジットの生理用品を見て大声をだして、他人のプライバシーの尊重しなさいと嗜めらることも。この映画はフランシスのように、当たり前にオープンに、女性の生理を扱っています。

どんなふうにに描かれるのかというと、ブリジットの妊娠と中絶にまつわる話からさらに、普通の映画にはないような、トイレでナプキンをつけるシーンや生理の血でシーツが汚れるシーンがあります。ストーリー自体は展開が早く、ポンポンと進みます。なのでただでさえだるい生理が余計にだるく画面に映されます。
飲み薬による中絶のシーン、セックスの途中に避妊で意見が割れて気まずいシーンなども。
女性にとってありがちな、わざわざ言うほどでもないこと、人には話せないこと、嫌なこと、情けないこと、実は持ってしまっていた偏見など、小さな出来事に内包された様々な問題や感情がたくさん描かれます。
だけどユーモアやあるあるの共感がセットになっているので観やすく、観終わった後に自分で色々考えられるような自然な軽さだと思います。
日常的なのにタブーで今まで描かれることがなかった事象、そこに焦点を当てた新しい感覚の映画だなと思いました。
…と同時に、わたしたちは普段こんな壮絶にだるいことに毎月振り回されて、色んな偏見や差別の中を生き抜いて、なんて偉いんだ!!と気付かされたような気持ちになります。

主人公のブリジットは映画の中で様々な体験をするのですが、それはある意味ごくごく普通の、女性の日常を送っているだけです。日常でこんなにたくさんの壮大な出来事が起きている、という切り取り方が、リアルで繊細で良かったです。

とにかくたくさん出血するので、わたしは心配になってきて、(不正出血は早く病院に行ってほしい…)と若干ハラハラしてしまいましたが、ブリジットが自分の身体や周りの人たちと不器用ながらも付き合っていく様子は、生理を経験した人なら誰もが思い当たることがあるのではと思います。(トイレの鏡で何度も振り返って汚れがないか確認するシーンとか)



フランシスは小学校にあがる前の、生意気で賢くて、子どもらしい無邪気さもある女の子です。何かとブリジットを振り回し困らせます。
ブリジットもガサツなので大人らしい対応ができず、2人はなかなか歩み寄れません。
そしてクールなレズビアンカップルの2人の関係も、仕事や出産で忙しくしているうちに段々とギクシャクしてしまいます。
フランシスとブリジットは共に手を取ることができるのか。

この映画の登場人物たちは全員が社会で生きていく上でのそれぞれの短所や弱さや生きづらさを抱えていて、それでも必死で生きていて、そこが良かったです。
わたしはブリジットの情けないところや適当なところに自分を重ねて観ましたし、産後うつで苦しむマヤの孤独にも差別や偏見で傷つくアニーの辛さにも共感しました。
登場人物たちの関係性を描く中で、現実で実際にどこかで起こっている問題が映画を通してシェアされます。

人々がそれぞれの苦しみを抱えていて、それを互いに明かし互いに支え合う、みたいなふうに言ってしまえば簡単なのですが、ふつうは誰しもが自分の弱いところをさらけ出すなんて簡単に出来ません。
自分1人で頑張ろうとしたり強く見せようとしたり相手に対して疑心暗鬼になってしまったりします。人間なので自分で正しい判断がつかなくなって悪化してしまうことも、孤独になってしまうこともあります。
勇気を出して、本音を話して、お互いの違いを尊重することが大切で、それがブレイクスルーとなったときは本当に嬉しいし、わたしもそうしたいなと思いました。そんな喜びを分かち合える映画でもあります。


妊娠や中絶に対して、ブリジットが「わからない」「感情はない」と正直に語っていたのも印象的でした。
この先妊娠したいかわからない。どうして涙が出るのかわからない。
正しいのか正しくないのか。白黒つけられないことは悪いことではないし、すぐに自分の気持ちに名前をつけられない。そういうことは自分の周りにも沢山あるなと思います。

なんとこの映画の脚本は、主演のケリー・オサリヴァンが、自らの実体験に基づいて書かれたそうです。ナニーのバイトをした経験と、中絶した経験。
実体験がこんな素晴らしい映画になっているなんてすごいです。ガールズトークのような、シェアしてくれてありがとうという気持ちになれる、良い映画です。

個人的に男性の観た感想も気になるなーと思いました。女性からしたらあるあるでも、男性だと今のどういう意味?みたいになりそう。
映画の中ではブリジットの年下彼氏はマイルドな男性で、積極的にブリジットに寄り添ってくれるのですが、中絶に対する気持ちのズレがあったり、負担がかかるのは当然女性の体なので、2人の間にすれ違いが起きます。
体が違うので理解し合えないことがあるのは当然として、少しでもお互いがなだらか〜に分かり合えるといいですね。

「自分が嫌い」「もっと立派になりたい」というブリジット。その答えをくれるフランシス。
生きているだけで素晴らしい なんて文章に書くと薄くなってしまって変な感じもしますが、自然とそう思わせてくれる、優しくて暖かいハグのような映画です。
生きていること自体に全力の女性たち。生きている人全員に全肯定のキラキラを届けてくれる映画でした。
すごくオススメです!

わたしもあなたも、みんな強くて賢くてかっこよくて、立派です🌻


最後まで読んでいただきありがとうございました🌷







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