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キムチを作り続けて50年。「高麗食品」が生み出すマネのできない味

「黄(ファン)さんの手造りキムチ」で知られる、キムチ専門メーカー「高麗食品」。いまでこそ日本の食卓の定番となったキムチですが、まだまだ珍しかった1976年に開業し、本格キムチの味をとことん追求し続けてきたパイオニアともいえます。
そんな高麗食品のキムチのおいしさを支える工場長・黄成守さんに、キムチへの想いや新たな構想についてうかがいました。

本格派でありながら日本人にも食べやすいキムチ

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高麗食品・工場長の黄成守さん

関西の大手スーパーをはじめ、あちこちで見かける高麗食品のキムチ。そのはじまりは、黄さんのお祖母さんが大阪・生野区で台車にキムチをのせて行商をはじめた1970年にまで遡ります。韓国で生まれ育ったお祖母さんが精魂込めて作った本格キムチは、滋味深く、ご飯に合い、いくらでも食べられると瞬く間に評判に。その味は祖母から娘へ、そして黄さん兄弟へと受け継がれ、現在の高麗食品へとつながっています。

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本社併設の直営店ではこだわりのキムチがずらりと並ぶ

「創業当時は韓国の味を緻密に再現したものだったんですが、もっと多くの人に楽しんでもらうには“食べやすい辛さ”が良いのでは、と試行錯誤を重ねました。そして行き着いたのが、国内加工のとうがらしと関西風のダシです。キムチ作りには韓国産のとうがらしが欠かせないといわれますが、国内加工のとうがらしを使えば粉にしてからキムチにするまでが段違いに早く、時間の経ったとうがらしよりも抜群に新鮮。キムチの味も香りもぐっと引き立ちます。その上で、ダシ文化が根強い関西の食文化に寄り添って昆布・鰹・煮干しをヤンニョム(キムチの合わせ調味料)に加えることにしました」。
こうして、辛味と旨味のバランスが整った、箸が進む“食べやすい辛さ”のキムチへと進化。これが、味にうるさい大阪人にぴたりとはまり、遠方からわざわざ買いに訪れる人も増えていったのです。

小売と量販店販売を両立する技術力

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徐々に小売販売から、スーパーをはじめとした量販店へと販路も拡大していった高麗食品。現在も直営5店舗での小売と、量販店への卸販売の両方を手掛けていますが、実はこの規模でふたつの販路を持つキムチ専門メーカーは高麗食品のほかにありません。
「量販店へ販路拡大できたのは、だいたい1988年頃でした。その頃はほとんどのスーパーでキムチの取り扱いはなかったですし、参入する企業も弊社以外ほとんどなかったはず。だからこそ入り込めたともいえます。量販店販売に目をつけた母には感謝ですね(笑)」。

量販店で現在まで続く支持と信頼を勝ち得た理由は、小売用と量販店用でキムチの製法をガラリと変えたことが大きいと黄さん。本格的な味わいは維持しつつ、量販店向けに低価格で提供できるよう工程を機械化してコストを削減。さらに1人用の小パックから家族用の大パックまで、さまざまな家庭に合うようサイズも豊富に展開。白菜キムチだけでなく、大根、きゅうり、スルメなど30種類以上のキムチを揃え、これらを合わせると出荷量は1ヶ月約50万パックにのぼります。

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「中でもヒット作はスルメキムチです。もともとあった商品で、もちろんおいしいのですが、辛味よりも甘味が立つので、私たちとしては“子どものおやつ”という認識だったんですね。そんな中、とあるバイヤーさんが『これは売れる』と目をつけてくださって。キムチはだいたい1店舗につき1日10〜20パック売れるのが普通なのですが、あれよあれよという間に200パックものスルメキムチが売れたんです。あのときは驚きましたね!」。

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ヤンニョムにしっかり漬かったおいしそうなスルメキムチ

ほかにも、もずくや梅干し、らっきょうなど珍しいキムチにも果敢に挑み続ける高麗食品。「もちろん失敗することも多々あります(笑)」と笑う黄さんですが、その朗らかな横顔には脈々と受け継がれてきた味へのたしかな自信が滲みます。

そして、新たな挑戦へ

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そんな高麗食品、黄さんが大阪商品計画参加にあたって企画・開発しているのが、よりリッチな味わいが楽しめる小売用の“特別な白菜キムチ”です。
「キムチといったら、やっぱり白菜キムチ。いちばん食べられるものをブラッシュアップしていきたい、という気持ちで参加しました。現在も小売のキムチは機械化しておらず、手作業で白菜にヤンニョムを漬け込こんで作っています。今回はその手作りキムチをさらに高級志向に、と考えています」。

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この道10年以上の職人が手際よく漬け込む

開発中のキムチは、すべて手作業で仕上げるのはもちろんのこと、化学調味料を加えず身体にやさしい味も追求。さらに砂糖も使用せず、代わりにフルーツや本みりんを加えてフルーティでまろやかな甘味を演出。食べた瞬間に素材そのものの旨味がふわりと広がる、そんなスペシャルな味わいをめざします。

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「おいしくてつい手を伸ばしたくなるキムチが多くの食卓に並び、食事の時間をもっと豊かにできたら。大阪商品計画で出来上がった新しいキムチも、そうなってくれると信じています」。
キムチひと筋でおいしさへの挑戦をひたむきに続ける黄さん。その言葉は実に力強く、頼もしさにあふれています。

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詳しくはこちら

有限会社高麗食品
大阪府大阪市生野区中川東2-20-13
06-6794-5920

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