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拡声器に特化したメーカー「ノボル電機」。その強みを生かしたものづくりと新たな挑戦

昭和20年にラジオ修理から始まり、ホーン型スピーカー・アンプ・マイクなど拡声音響装置の製造や、拡声音響装置の専門メーカーとして75年の歴史を誇るノボル電機。3代目社長として猪奥(いおく)元基さんが就任後、これまでにない軽さを実現したメガホン「かる〜いホン」や、多言語放送装置「『外国語』しゃべ〜るホン」などを生み出し、業界に新風を巻き起こしています。ノボル電機の目線の先にあるものとは。

安心される専門メーカーとして

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ノボル電機社長・猪奥元基さん

とくに船舶のスピーカーに高いシェアを誇る同社。50年以上前に開発した製品が、今も継続して日本全国をはじめ、サウジアラビアでも使われています。
一般的な拡声音響装置といえば館内放送をはじめとする設備用音響ですが「当社はあえてその分野には踏み入れていません」と猪奥さんは話します。

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本社工場では日々緻密な作業が行われる

「我々の使命は“安心される専門メーカー”であることだと考えています。設備用音響の市場に参入して手広く販路を拡大するのではなく、あるひとつの業界のニーズを狭く深く探っていくことで、細かな部分に対応した商品をご提供したいです」。

その言葉通り、一隻一隻仕様の異なる大型船に合わせたスピーカーを生産し、いかなる船舶にも柔軟に対応。また清掃車が来たことをお知らせする音響システムは、オルゴールを基に同社が企画・開発したものです。

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現場からの支持も高いという船舶用マイク

「スピード感をもって取り組むことも重要で、企画から設計・開発を経てすぐに試作へと移行します。お客様に実際にお使いいただくことでさまざまなご意見も頂戴できますので、さらにブラッシュアップできる。こうすることで隠れたニーズを製品に落とし込め、既存製品とは違う“とがった部分”を持った製品が生み出せているのだと自負しています」。

革新的な商品で業界をあっと驚かせる

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そんなノボル電機がとくに力を入れている分野が「防災」です。そこには、大学卒業後、陸上自衛隊に入隊し、隊員として勤めていた経験を持つ猪奥さんならではの知見が存分に生かされます。中でも“小さく、軽く、取り回しやすい”をコンセプトに開発した「かる〜いホン」は、りそな中小企業振興財団、日刊工業新聞社主催の「第31回 中小企業優秀新技術・新製品賞」優良賞を受賞するなど多方面から評価の高い商品です。

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ペットボトル(500ml)1本分よりも軽い「かる〜いホン」

「一般的なメガホンよりもかなり軽量でありながら、しっかりと音が届き、かつ耐久性・耐水性・防塵性も確保していることが評価いただけたようです。実は音達(おんたつ)の理想形からは外れた邪道なフォルムではあるのですが、だからこそコンパクトにでき、多くのシーンでお求めいただけたと思います。今は災害現場の最前線である消防車などにも積んでいただいています」。

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反射をなくし音の微細なテストを実施する「無響室」

さらに、「かる〜いホン」をバージョンアップさせ、多言語での防災放送も可能にした「『外国語』しゃべ〜るホン」も開発。上部の専用端末を操作して、日本語・英語・中国語・韓国語で36分野484言語以上の発話を叶えました。

「防災をはじめ、特殊な需要に応えられる機動力を生かし、国内販売にこだわって営業を続けてまいりました。柔軟な発想力と細かな注文に応えられる技術力をベースに、これからも国内市場の細部に目を向けて、さまざまな商品を生み出していきたいです」。

新商品は懐かしさや癒やしがキーポイントに

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75年の歴史の中で作られてきた商品の数々

今回、大阪商品計画でノボル電機が企画・開発しているのは、これまで培ってきたBtoB(Business to Business)の販路とは異なる、BtoC(Business to Consumer)の市場で戦える商品です。「国内市場に根を張って運営していきたいと考える中で、同じことばかりに目を向けていても成長できません。一般消費者向けという新たな販路を切り開くことで、共感してくださった方々の意見などをもとに、ブランドコミュニティを形成していきたいと思っています」と、猪奥さんは力強く話します。

具体的には、音に寄り添った商品を開発中。これまで培ってきた「音を遠くに届ける」こととは少し距離をとり、もっと音自体に目を向けてみてもいいのではと考えています。出てきたキーワードは“懐かしさ”や“癒やし”。75年の歴史の中で生まれた、どこか懐かしさを感じる商品デザインをベースに、30〜40代の世代に向けてほっとひと息つける商品を提案する予定です。

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「BtoBとBtoC、どちらも両立させていきたいという気持ちはもちろんありますし、また一方で、違った目線でものを考えることで、社内全体が挑戦できる雰囲気になればとも考えています。大阪商品計画での取り組みをきっかけに、社風改革といったら大げさかもしれませんが、そういったこともめざしています」。

歴史ある企業・ノボル電機を、挑戦を続けながら引っ張っていく猪奥さん。「変革し続ける組織でありたいし、私自身がそうありたいですね!」と話すその姿は実に力強く、頼もしさに満ちています。

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詳しくはこちら

株式会社ノボル電機
大阪府枚方市茄子作南町229-1
072-852-5860

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