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#11 農地って借りるのに何円かかる?

では農地を借りる要件をクリアできたとして、そもそも農地って借りるのにどれくらいお金がかかるのでしょうか??

どこに公開されているのか??

農地の貸借料金はどこを見ればわかるのか?

現在では、農地の利用権の設定による賃借料の実績を、各市町村にある農業委員会が公開しています。(公開していないところもあります。)
この金額はあくまで目安であり、実情は農家さんにヒアリングするのが一番正確ですが、今回は傾向を掴むために、この情報を参考にみてみます!

大阪の場合、年間、10aあたり、どれくらいの値段でしょう?
(※10aは50m×25mのプールより少し狭いくらいの面積です。)
想像してみてください。。。

高い!?安い!?大阪の農地の貸借値段は○○円

大阪府内の農業委員会のホームページから、値段情報のある市町村をピックアップしたのが次の表です。

その平均値は約17,000円でした。(水田、年間10aあたり)

貸借料一覧

どうでしょう。想像より安いのではないでしょうか??50mプールの広さを借りるのに年間17,000円と考えると、私はとても安く感じました。
ただ、これはあくまで平均値であり、それぞれの農地に応じて、大きく変動するようです。

例えば富田林市の貸借料はこちらを参考にしましたが、8,000円~69,100円とかなり幅があり、かつ、平均の3倍を超える差異のものは除外されています。
ですので一概に「〇〇市は高い/安い」とは言えないですが、データを見ているとおよそ17,000円くらいに収束するのだろうということはわかります。

他府県だと・・・?

では他府県では何円でしょう?
全国平均値が見つからなかったので、次の2地点をピックアップしました。
新潟県魚沼市:魚沼産コシヒカリで知られる全国有数の米どころ。
神奈川県川崎市:政令指定都市であり、比較的都市部に近い農業。大阪と地理的には近い境遇。

さあ、どうなるでしょうか??


新潟県魚沼市:約17,000円(2020年)
神奈川県川崎市:約20,000円(2020年 ※畑地)

意外や意外、魚沼市、川崎市でも大阪と大きな差はありませんでした。ですので、平均としてはどこの都市も似たり寄ったりで、同じ市町村内でのバラつきが大きいと思われます。

過去と比べて高いの?安いの?

では、過去と比較するとどうでしょう?こちらも直近のデータがなく、かつて農林水産省が小作料をまとめていたデータと比べてみましょう。

小作料の推移

グラフの通り、小作料は徐々に安くなってきていることがわかります。
平成18年(2006年)からは大きくは変動していないようです。

果たして安いのか!?

農地の貸借料金は、面積の割には想像より安かったです。

しかし、これはあくまで10aあたりです。
実際に農業経営をするとなると全体でどれくらいのコストになるのでしょうか?

日本政策金融公庫のデータによると、露地野菜の都府県経営面積、3.5ha(350a)で売上は2,990万円です。
水稲だと、都府県経営面積、15.7ha(1570a)で売上は2,890万円です。

単純計算すると、露地野菜では売上85万円/10a、水稲では18万円/10aです。
水稲であれば10aあたり売上の約10%にあたる金額が貸借料となっています。
これは高いのか、安いのか。

例えば、飲食業では賃料は売上の10%以内に抑えることが目標とされている記事が多く見られます。
そう考えると、一見安いように見える水稲の賃料は他産業並みで、露地野菜だと安いと考えられますね。

コストがかからないのは「いいこと」ですが、裏を返せば、農地にそれだけコストがかかると農業そのものが成り立たないのことを示しているのではと思われます。

まとめ

今回は農地の値段について考えました。土地の広さの割に賃料は安いように感じましたが、売上ベースで考えると水稲の場合そこまで安くなさそうです。
ただ、「安いからよい」のではなくて、「なぜ安いのか?(高いと成立しないビジネスなのか)」を考えていただくとよいと思います。


さあ、みなさん、農地借りたくなりましたか?どうでしょう?

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