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映画「サイド バイ サイド 隣にいる人」感想 生霊という設定と謎解きはどこに?パンフは売り切れ

評価に困る作品だ。映像はすごく綺麗で、森の中の雰囲気はよかった。虫や草の香りが実感できるし、物語のテーマが再生なのは分かる。しかし、登場人物の説明がないのが辛い。生霊が見えるという、特殊能力を持った主人公が様々な人たちと接する物語と思ったら違った。かつての恋人、有名なミュージシャンになった後輩、暴力をふるう父親などまったく説明がない。恋人がなぜ後輩の元にいたのか?高校の文化祭で何があったのか?恋人の子供の父親は誰か?など謎が残りすぎて疑問しかわかない不思議なドラマだ。謎解きかと思いきやそうではない。

主人公の未山の秘密はいっさい明かされないから、すごくもやもやが残る。ラストは死んだような描写で、生霊になって詩織親子のもとにいる。生霊の設定とはなんだったのか?正直、恋人の莉子との関係はしっかり表現してほしかった。お腹の子供のことも不明だし、雰囲気の映画なのかもしれない。疑問しか残らない映画になってしまっている。後輩と莉子の関係もあやふやで、後輩の生霊が未山の近くにいるから感づいただけであり、詳細は不明である。本当にどうなっているのだ。

そもそも、未山がなぜ莉子の面倒を見るのかがわからない。自分の子供ではなないようだが、嘘なのだろうか?意味深に夜に未山と莉子が会話した際に、突然未山の父親の話になったので、莉子は未山の父親と関係があったのか?と思ってしまう。謎が謎のままで、肝心の未山が死んだような描写があるのでわからない。徹底して感情を排除した映画のようだ、未山の死の場面も直接はなく、莉子や詩織達が悲しむ姿もなく、いかなり大きくなった莉子の子供が登場するから不思議な話になっているのが、なんとも言えない。もっとハッキリ描写してほしいが、公式サイトには未山の過去が、みたいなことを謳い文句があったのに、まるでないから解釈をつけづらい。

パンフレットが完売していたが、みんな謎の答えがほしかったのかもしれない。映画が終わったあと、観客の皆さんは、意味が分からない、未山はどうなった、莉子の正体は、などなど口々に疑問をしていた。やっぱり理解は難しいのかもしれない。未山、莉子、詩織の親子が再生していく物語として、雰囲気を味わうのが正解かもしれない。生霊の設定をもっと活かして欲しかったし、まあ、莉子が人間なのか、生霊なのかの描写は印象的だったから、そこが大切なポイントなのかもしれない。あと、牛がすごく大事なシーンである。

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