Kindle unlimtedのおすすめ:『アイルランドを知れば日本がわかる』

 まずURLをば。アイルランドの事を知らない人も、名前と位置とちょっとした歴史を知っている人にもおすすめだ。もうアイルランドの事は何でも知っているぜ、みたいな人にもお勧めできるかどうかはあまり自信が無い。私にはわからない。ただ、「アイルランドってそもそも何よ?」みたいな人でも、読み進めて行く上で必要な知識や前提の説明があるので安心だ。

 本書のアイルランドの捉え方は大きく分けて三つある。アメリカとの関係、イギリスとの関係、そして日本との関係だ。
  前回扱った江戸の暮らしと当時のアイルランドの状況を比較して考えてみると、なかなか面白いように思える。黒船の到来まで本格的な海外勢力の危機に晒された事の無かった江戸と、海外の脅威にさらされ続けてきたアイルランド、といった対比だ。

 日本についていえば、アイルランドとイギリスとの関係を日本と韓国との関係に置き換えて類推してみよう、という試みもなされている。この類推をする場合に判断する材料の一つに出来るであろう物に『在日の涙――間違いだらけの日韓関係』を挙げても良いと思う。筆者はアイルランドとイギリスの関係を日本と韓国との関係とを類推しているが、共通点と共通していない点とを確認しても面白いだろう。
 例えばフランスとドイツだとかの関係もそうだろうが、大体隣国との関係は良い物にはなりにくい。そして、その向こうにある国は大体友達みたいなもんというのは、おおよそ世界の真理だ。日本でも、隣国の隣国のインドのイメージは何だかんだで悪いものではない。アイルランドも、それは勿論移民した同胞の存在を抜きに語れまいだろうが、アメリカ(は一応海を挟んだ隣国だろうが)やカナダ(も海を挟んだ隣国だろうが)、あるいはオーストラリアといった国々との関係は、隣国であるイギリスよりも良好であるようだ。そういう意味では、隣国との関係がちょっとばかし悪く感じられようが、それがむしろ当然なのだろう。

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