ryoko

細々と文章を書いています。

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最近の記事

おまじない日記①

 実家のすぐ近くに祖父母の家があるので、子供の頃は年がら年中そちらの家にいた。祖父母の家だと、一緒に料理をして包丁を使ってみても怒られないし一軒家なので騒いでもあまり怒られなかった。  ただ、どうしても不思議だったことが二つある。    子供の頃はあまり日にちを意識して過ごしていなかったので、それが月のいつ頃行われていたのか定かではないけれども、自分の名前が書かれた紙の人形に息を吹きかけるおまじないを行っていた。特に何か周りと違う宗教に入っていたわけではない。  月に一度か

    • 夏の日記

       明日から夏休みが始まる。  たった四日間だけれどそれでもいいのである。世間というか、私も普通に考えて四日間て短くない? とか考えてしまうが、まぁ、それは置いておいて夏休みって響きがそもそも良い。  本当は、この夏休みに甥っ子に会いに行くか、みたいな話も出ていたけれどコロナコロナでお流れになってしまった。たまに妹から送られてくる動画に映っている甥っ子は日増しに大きくなっていて、気が付いたら立って歩いている。早すぎてびっくりしてしまった。  駆け足どころの話ではない、新幹線みた

      • ぼんやり日記

         先日、打ち沈んだ声の母から電話がかかってきた。家に帰って、夕ご飯を食べて一息ついたタイミングだった。メールは見たか? と言っている。母はメッセージを送るアプリをすべてメールと呼ぶので、朝に母から送られてきた甥っ子の動画のことかと思って勢いで、見たよ、と言ってしまったけれど、どうにも様子が変だった。時折、鼻をすする音がする。  Mさんが……、あれ、Mさんであっているんだっけ?Sちゃんのお母さんの……と訳の分からないことも言い始めた。  確かにMさんもSちゃんも知っているけれど

        • 黒ビール記念日

           踊りのお稽古の前に友人とお酒を呑んだ。昼間からビヤホールに入って、周囲が仕事だランチだと言っている中で吞む冷えたビール、その背徳感。たまったもんじゃない。  ビヤホールだからいつも行く居酒屋と違って滑らかな泡だし、あれもこれもと色々なビールを試せるしで、うひょーとかふぇぇぇとか人間なのか疑われるような反応しかできなかったけれどいや、もう、なんと思われたっていい。  久しぶりに宅呑み以外ができたし、ガーリックシュリンプはおいしいニンニク最高という気分。  お店に入る前は、あと

          再開記念日

            昨年末から半年近く日記付けの冬休みを取った。  別に誰かに頼まれて書いているわけではないので、書くも書かないも自由だから特に気に病むこともなく存分にお休みした。存分にやりすぎて半年も過ぎた。最後の日記を書いた頃は、冬用のコートを買い足すか悩んでいたのに今は夏用のワンピースを買うかどうか悩んでいる。いや、めっちゃ欲しいけれどワンピース。  夏生まれなので自分用の誕生日プレゼントに買うのだけれど、まだちょっと早い。ただ、早く着たいなぁという気持ちも大きい。八月なのである、私の

          再開記念日

          晴れの記念日

          年が明けた。今回の年越しも、友人と一緒に初詣に行って夜中のうちにお参りを済ませた。前回までは、川崎大師に行っていたのだけれど今年は趣向を変えて、東京の増上寺に行った。友人とふたり、寒い寒いと引っ付きながら地下鉄の大門駅からお寺まで歩く。当たり前だけれど、昼間みたいな込み具合でどこのお店も人でごった返していた。 増上寺について、参道を埋め尽くしている列のような集団のような塊になんだかよくわからないまま並んだけれど、寒いし、満員電車のような密度だしで、さっさと離脱して、屋台でコ

          晴れの記念日

          冬の日記念日

            カラカラと音をさせながら、麦茶が口の中に流れ込んできた。冬に飲む冷たい麦茶も案外おいしい。   家に氷を常備していないので、大体何か飲むときは、冷蔵庫で冷やしてあるものをそのまま飲むか、温めて飲むかのどちらかなので、久しぶりに氷入りの飲み物を飲むとしばらく忘れていた夏の感覚がよみがえってくる。暖房で火照った頭がすっきりとして、気分爽快、冬こそ冷たいものを飲むべきだ、となんだか楽しくなってきた。これなら仕事もはかどるかもしれない。   毎週やってくる日曜日は、どうにも仕事の

          冬の日記念日

          焼酎記念日

            夢に父方の祖父が出てきた。 こう書くとなんだか、祖父がもう亡き人のように思えるけれどまだまだ存命である。夢の中の祖父は自転車に乗っていた気がする。   小さいとき見ていたままの景色が再生されていた。祖父と妹といつの間にか祖母もいて、みんなで一緒に自転車に乗って、なんだかおいしいものを食べて、また明日ね、と言って別れたところで目が覚めた。仕事の日なのにとてもいい目覚めだった。少し寝坊したけれど余裕で出社に間に合ったし、得した気分とはこれのことかね、と思う。   最近は関

          焼酎記念日

          めでためでたの記念日

            先日、甥っ子・Aと面会してきた。生まれて初めての甥っ子だ。とても静かな子供だった。最近やっと首が座ってきたと、まるで自分の首が座ったかのように、祖母となった母が言った。ちなみに、甥っ子・Aの母親は私の妹・Nである。   Nの家に着いて、手を洗ったらすかさず「抱っこしてみなよ」と言ってAを手渡してくる。なかなかハードな出迎えだった。そもそも、写真でしか見たことがなかったAが妹・Nの腕に抱かれウゴウゴと登場しただけでも衝撃なのに、Aへのあいさつはまず抱っこである。別の国に迷い

          めでためでたの記念日

          柚子入り蕎麦の記念日

             通勤途中に通る公園に柚子の木が生えている。昨日まで全く気が付かなかったのだけれど、まだ薄い黄色の丸い実がうっそうとした常緑樹たちの中にポチポチと浮かんでいた。削った皮をあたたかいそばの丼ぶりに浮かべたら幸せだろうなと思う。つい最近までわりと暖かい日が多かったから、まったくそんな気はしていなかったけれど、どちらかと言えば今は冬なのだ。そりゃ柚子も実るし、朝は布団から出たくなくなる。    スーパーマーケットで柚子を買うと高いので、できれば公園に生えている木からいくつかもら

          柚子入り蕎麦の記念日

          続・休肝(仮)記念日

            体重が二年連続で増加した。一年で二キログラムづつ増えたから、入社時から数えて計四キログラム、みごとに増えた。ホントにこんなこと書いていると落ち込んでくるけれど、増えてしまったものは仕方がない。健康診断受診日は、落ち込みすぎてなぜか血圧が上がってしまったけれど、これもどうしようもない。あるものはある。明らかに酒の吞みすぎだと思う。酒は吞むけれど運動はしないので、そりゃ増えるよね。本当に休肝週間を実施しなければならなくなった。    無理なく続ければ、一年後の健康診断では三か

          続・休肝(仮)記念日

          休肝(仮)記念日

             最近、吞みすぎているので休肝週間でも作ろうかと思っている。月初の忙しさを紛らわせるために一杯、休日にワインを吞みたくなり一杯、仲のいい同僚と遊んで一杯、映画鑑賞でポテトチップスと一緒に一杯、ほかにも何だかよくわからないけれど軽く一杯飲んでしまっている。    来週は健康診断なのだ。しかも、週明けにあるし、去年も同じことを思っている気がする。健康診断前に、吞みたくなる瞬間が重なるのか、健康診断前だから吞みたくなるのかはわからないけれど毎年、あぁ、節制せねば……、と考えてい

          休肝(仮)記念日

          はじまり記念日

            とにかく、本を読みたいのである。これはもう死活問題かもしれない。精神の飢餓、余裕のない時間、食事をして急いでシャワーを浴びてベッドに倒れこむだけの生活、余裕のない体力、けれども吞みたい酒、その他諸々......。私自身の問題が多くあるような気もするが、とにかく死活問題である。本を読みたい。先日、毎年恒例の神田古本まつりに行ってきたにもかかわらず、買った本 は二、三冊しか読めていない。あぁ、もっと読みたい本がたくさんあるんだ、とオフィスで叫びそうになるが、叫んでいるのは私の

          はじまり記念日

          浦島太郎記念日

            なんて素敵な日だったのだろう、と未だに思う。久しぶりに足を踏み入れたその場所は世間一般で言うように夢であふれていた。仮装している人達がかわいい、色々なお菓子がある、どこを見ても(ゴミ箱の裏でも)統一感がある、見かける人すべてが揃いも揃ってご機嫌だ、骨付きのスモークチキンがおいしい、フライドポテトもおいしい、お酒を一緒に味わえないのは少し残念だけれど乗り物に酔ってしまっては困るのでまぁいいや、と思う。    ディズニーランドである。後輩・Kに連れられて十三年ぶりに見る大きな

          浦島太郎記念日

          雨ふり記念日

             朝から雨が降っている日だった。先週の台風で、大きな被害を受けた地域は二次災害が起きる危険があると、前日からしきりにテレビで騒いでいた。  その日の朝起きてみると、なるほど空気は少し湿り気を帯びてしっとりとしているし、さぁぁという小さな音が絶え間なく聞こえてくる。  肌寒い時期の雨が好きだ。雨の音はずっと聞こえているのに、いつもより静かな世界にいる気がする。普段より湿り気を帯びた空気の重さが好きなのだと思う。ベッドから降りると、足の裏がひんやりとして歩くとペタペタと音がし

          雨ふり記念日

          生き延びた記念日

           今週も、どうにかこうにか生き延びた。だからお酒を呑んだ。別にわざわざ記念することでもないのだけれど、今週は特に頑張ったので呑むしかなかった。 なにせ、大きすぎる台風が発生した。仕事はまぁまぁどうになったけれどお金の清算を忘れている人がいる。  けれども、まぁ、良しとしておこう。    来週もこんな気持ちになれればいいなと思う。  今は秋で、外では虫が鳴いている。台風が過ぎた後は一日だけ熱くなったけれど、突然冬に近づいた。朝、目覚めた瞬間の空気が冷たくて緊張している。お前は

          生き延びた記念日