続・休肝(仮)記念日
体重が二年連続で増加した。一年で二キログラムづつ増えたから、入社時から数えて計四キログラム、みごとに増えた。ホントにこんなこと書いていると落ち込んでくるけれど、増えてしまったものは仕方がない。健康診断受診日は、落ち込みすぎてなぜか血圧が上がってしまったけれど、これもどうしようもない。あるものはある。明らかに酒の吞みすぎだと思う。酒は吞むけれど運動はしないので、そりゃ増えるよね。本当に休肝週間を実施しなければならなくなった。
無理なく続ければ、一年後の健康診断では三から四キログラムくらいは落ちているんじゃないかしら。とりあえず、仕事の日は呑まずに過ごして、休日にほっと一息ついておいしいお酒を呑めばいい。
週末に呑むならば何がいいだろう。少し大人に、ホットウイスキーなんかを吞んでみたい気がする。
去年、京都旅行に行った際に、休憩のために入った喫茶店で吞んだホットウイスキーがとてもよかった。今までは、ウイスキー特有の、濃い木の香りが口と鼻に一気に広がるような、人間でいうと咽かえるような色気に似たあの味がどうにも苦手だったけれど、少し手を加えて暖かいお酒にするとこんなにもおいしいのかと驚き、周囲に響く姦しい話し声が子守唄に聞こえるような、とても寛いだ気持ちになれた。あれをもう一度、味わいたいと思う。
それならばいっそ、専用の少し艶がかった鈍色の持ち手がある縦長のグラス、角砂糖を溶かすための細いスプーン、それらを邪魔しないシンプルなソーサーもそろえて、静かな冬の夜を楽しんでみたい。キャラメルで薄くコーティングしたアーモンドがあってもいいだろう。
あの喫茶店の雰囲気を再現できたらどんなに幸せだろうか。冬の、雪の降る夜だった。
橙色に染まる店内に、溶けるようなウイスキーのブラウンからゆるゆると湯気が立ち昇っていた。そこへレモンをひと絞りすると、サッと色が薄くなり軽やかな表情になる。けれども、口に含めばしっとりとした程よい木の香りが口からゆっくりと広がっていく。あれをもう一度、味わいたい。
とりあえず、次の休みは上等のウイスキーを一本、用意しようと思う。