おまじない日記①

 実家のすぐ近くに祖父母の家があるので、子供の頃は年がら年中そちらの家にいた。祖父母の家だと、一緒に料理をして包丁を使ってみても怒られないし一軒家なので騒いでもあまり怒られなかった。
 ただ、どうしても不思議だったことが二つある。
 

 子供の頃はあまり日にちを意識して過ごしていなかったので、それが月のいつ頃行われていたのか定かではないけれども、自分の名前が書かれた紙の人形に息を吹きかけるおまじないを行っていた。特に何か周りと違う宗教に入っていたわけではない。
 月に一度か二度、夕飯前の時間に半紙を人型にくりぬいて作ったペラペラとした人形を祖母が持ってくる。それには、私や妹、母と父の名前がそれぞれ書いてある。
 やることは簡単だ。
 人形の頭の部分をつまんで持ち、思いっきり息を吹きかける。
 注意点は、息を吹きかけている途中で息継ぎをしないことと、できるだけ強く吹きかけること。終わったらすぐさま祖母が回収する。悪い息を吸い取った人形は汚い物なので長い間持っていてはいけないからだ。 
 回収した人形をどう処理していたのか知らないけれど、ゴミ箱には捨てていないと思う。燃やしたりして処理をしていたんじゃないだろうか。そうすることで、体調不良やけがの元である「悪い息」を人形が吸い取って元気に過ごせるようになる、というおまじない。
 小学生高学年くらいになると、もうやらなくなっていたけれど未だにあの習慣はなんだったのか分からない。当時は、特に不思議にも思わずに、たまに行うお遊びみたいな感覚だった。
 今になって、気になりインターネットで調べてみたけれど似たような風習さえ見当たらない(調べ方が悪かったのだろうか)。
 祖父母は栃木の生まれだから、そちらの地方で行っていた風習なのかと思って調べてみたけれど、やはりそれらしいものには出会わなかった。
 未だによく分からない。
 今度、祖父母に会ったときにでも聞いてみようと思った。

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