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【読んだよ】DIVE!!:森 絵都

 最近、森絵都のDIVE!!を読了した。

高さ10メートルから時速60キロで飛び込み、技の正確さと美しさを競うダイビング。赤字経営のクラブ存続の条件はなんとオリンピック出場だった。少年たちの長く熱い夏が始まる。
──KADOKAWAオフィシャルサイトより

 もともと私はそんなに本を読むほうではない。たまにライトノベルを読むことがあるくらいだ。が、最近活字を読む癖をつけたくて、そんな私に友人が勧めてくれたのがこの本だ。

 発売日が2006年とかなり古いのでネタバレを考慮しない感想を述べるが、とにかく臨場感がすごい作品だった。
 私は飛び込みという競技を全く知らない。なのにこの作品を読んでいると、飛び込むまでの主人公たちのダイビングする際の一瞬の動きなどが活字を通して連想されていくのはなぜなのだろうか。
 こういうスポーツモノの作品は普通、技名とかが出たとき、それがどんな技なのかを調べて頭の中でそのイメージを固めてから読み進めるのが適当な気がするのだが、この作品は一度も飛び込みに触ったことがないのに飛び込む際の姿勢や呼吸、飛び込む際の腰のひねりや回転、そして着水の際のノー・スプラッシュの瞬間が観客視点、選手視点でもまざまざと頭に思い浮かんでくる。
 超高難易度の前宙返り4回転半抱え型も、素朴さの中に美しさを求め切ったスワンダイブも、苦しみの中飛んだ完璧な前逆宙返り二回半蝦型もこの目で見たことはおろか、どういう技なのかすら読了した今でもよく理解できていない。
 
 言葉を選ばずに言えば、とにかくすごい。
 文字だけで脳内の想像力にこれほどまでに迫る臨場感を見せつけてくれるこの作品に出会えてよかったと思う。
 惜しむらくは、もっと若いとき、学生くらいの頃にこの作品に出合いたかったことだろうか。

 

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