見出し画像

iBuyerの急伸にブレーキ

ポイント
・iBuyer企業は「売り手」に都合がいい
・だがコストが嵩み利益が出しづらい状況
・住宅ローン金利の上昇も理由の一つ


iBuyerをご存知でしょうか。
簡単に説明するとオンラインでざっくり見積もり、現金一括で住宅を購入するオンラインベースの企業のこと。
大手だとZillow, Redfin, Offerpad...などがあります。

売り手側
メリット

・面倒な内覧が必要ない
・45日程度で即売できるので次の家の購入が楽(Sales Contingencyを省ける)
・Appraisal Contingencyがないので売りやすい
・Inspectionで相当ひどくなければ買い手が修理する場合もあり楽。
・(写真やエリアの市場価格で見積もるので家の状態次第では通常より高く買い取ってもらえることもある)*

デメリット
・より高い価格で販売できる可能性がある(Bidding Warで市場価格以上になる可能性もある)
⇒ここの部分はColdwell bankerでもRealSureというプログラムを利用して、最低価格保証+市場に30日間売り出すことで買い取り価格最大化を行っています。
iBuyer側
メリット

・市場価格より少し低めの価格で買い取り(利益のせて再販)
・手数料として6-12%程度取る
・再販、または賃貸として利用。不動産価格の上昇に合わせて利益も上がる可能性が高い。
・現金一括なのでBidding War(価格競争)でも勝ちやすい

*近所の事例ですが、iBuyerが買い取った住宅に8%の利益をのせて再販していました。とはいえもともとの買い取り価格が破格(高すぎ)だったのでビックリしていましたがさらに8%も載せていてびっくりしました。当然ながら住宅はそんな高価格では売れず、結局値下げの結果マイナス利益になっていました。実はそのエリアはZip(郵便番号)では高いエリアですがSubdivision(コミュニティ)自体は周辺より少し安いエリアでした。というわけでZipで市場金額をざっくり見積もりしたのかもしれませんが雑な見積もりだなぁと思わざるを得ませんでした。


さて、このiBuyerですが少し難しい局面に来たようです。
このパンデミックで住宅需要はうなぎのぼり。でも売りにだされる住宅があまりにも少ないため売り手市場となり住宅価格の高騰が続いています。とはいえ先月9月あたりからやっと落ち着きが見えてきました。
フロリダでは住宅をすでに所有している場合自分の家が売れたら購入する(売れなければ契約を破棄する)というSales Contingencyを入れることができます。ですがiBuyerであれば一定期間内に確実に家が売れるためこのContingencyを省けるということで売り手側には好まれています。特に今の市場では家がすぐ売れてしまうので、自分の持ち家も、ほしい次の住宅もすぐに売れないと困るのです。



Florida Realtorsの記事

さて、大手Zillowの事例ですがここにきて住宅の現金購入についてのストップがかかっているという内容です。
住宅を買ったものの、修理のための業者、Vender(コントラクター)が見つからず、コストが余計にかかって結局利益が出なくなってきている、というもの。

工事請負業者は新築住宅でも需要が高まっていましたし、ここ最近のインフレで人件費、材料費も上がっていることも原因の一部。

また、住宅ローン金利が3%台に回復してきました。史上最低金利といわれた2021年1月ですが、そこから上昇気味にあります。そうなると今後の住宅需要はもっと落ち着きを見せる可能性があり、住宅価格は減少傾向に向かいます。

というわけで再販を行っても利益が出づらくなった今、Zillowは今後しばらく住宅の買い取りをやめるとのこと。
OfferpadなんかはMark Spainという不動産ブローカーを買って住宅即売保障をしていますが長期的には大丈夫なんでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?