お金とやりがいと若者のすべて
仕事や就職にするにあたって重視するのは
「お金か、それともやりがいか?」
就活生に対するアンケートなどで
よく取り上げられる話題です。
最近の若い世代は、
お金やモノにあまり執着がなく、
仕事にはやりがいや社会貢献感を求める。
という話を聞く。
●収入とやりがい、仕事においてどちらをより求めるか?
一方で、
スタジオテイル(東京都新宿区)が運営する情報サイト「みんなの転職『体験談』。」は、サイト内で行っているアンケート「収入とやりがい、仕事においてどちらをより求めるか」で、
・2017年 お金(45%) やりがい(55%)
・2018年 お金(48%) やりがい(52%)
・2019年 お金(51%) やりがい(49%)
・2020年 お金(52%) やりがい(48%)
・2021年 お金(50%) やりがい(50%)
・2022年 お金(56%) やりがい(44%)
・2023年 お金(59%) やりがい(41%)
という回答を発表している。
●本当のところはどっちなんだろうか?
自分が若者(新卒)だった頃を振り返ってみる。
当時の僕にはやりたいことがあった。
以前noteでも書かせていただいたが
https://note.com/oripon/n/n5369e7659222
それは洋服をデザインすることだった。
それが僕にとっての「働く意味」だったから
・給料・待遇が良い
・将来性がある
・社会貢献度が高い
・休日・休暇が多い
等はほとんど気にせず、
企業のアパレルデザイナーとして就職した。
だけど、やりたかった仕事に就けたからといって
後はハッピーだったかというと
実際大変なことや苦労もたくさん経験した。
それでも、やりがいはあった。
例えば、
シャツのチェック柄の生地を作る時。
チェック柄に使用する糸の色を
一色ずつ決めていく。
「これが僕の仕事なんて、なんて素晴らしいんだろう」
とワクワクしながら仕事していたことを、
今でも思い出すことができる。
夜遅くまで残業しても、へっちゃらだった。
夏物のアロハシャツ風の半袖シャツの商品企画だった。
涼しい水色系のチェック柄、
パイナップルをイメージした黄色系のチェック柄
などを企画して、
全国の量販店に並んでいるのを目にした時、
その日を迎えるまでは、
大変だったけどとても嬉しかった。
デザインしたシャツがたくさんの人に喜んでもらえたら、
こんなに幸せなことはない。
そんな風にも感じていた。
しかし、後にやりがいを失う一つのきっかけとなる
ある出来事に遭遇する。
それは商品の在庫を保管してある、
物流倉庫に出かけた時のことだった。
●過剰生産の末路
大量に売れ残った商品が、
山積みの段ボールとなっている姿を目の当たりにした。
少しでもコストを下げ、
売上を上げるため大量生産され、
必要以上に作り過ぎた商品の末路だった。
セールや福袋商戦を経て、
何シーズンか過ぎた商品は、
いずれ廃棄される運命とのことだった。
今でいう衣服ロスだ
まさか自分が企画した商品も、
こんな風に捨てられているのかもしれない・・
「えっ、全然誰の役にも、社会の役にも立ってへんやん!」
そう思った時、
僕にとっての「働く意味」が、
ガラガラと崩れていった。
自分にとっては喜びであり、
やりがいそのものだったデザインが、
お金儲けのための道具として使われている。
世のため、人のために一生懸命働いて、
お金を稼ぐことは良いことだと思っている。
でも、お金儲けのために、
誰の役にも、社会の役にも立てない、
過剰生産され、破棄される商品は何のために存在しているんだろうか?
それを知って以降、
だんだんと自分のやっている仕事に、
やりがいは見いだせなくなっていった。
残業にも意義を感じられなくなり
いつしか体も心もどんどん重くなっていった。
やりがいは僕にとって
お金よりも大切なものだった