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なぜ「福祉」が必要であるのか

現在、介護業界で働く、妻子持ちの32歳の男です。


介護業界といっても、介護職ではなく「生活相談員」という仕事をしております。


先日、施設の入所者から、こう言われました。


「あなたは目が見えなくなったらどうしますか?」


(はい、重い話で申し訳ありません。ですが、大切と思う話なので書きます)


1.「目の見えない入所者さん」について

その入所者さんは、

■70代男性
■数年前に全盲になる(全盲=目が見えない)
■認知症等はなく、ハンディキャップは目が見えないだけ
■高学歴であり(誰もが知っている超有名大学卒)、英語も話せる
■仕事の意欲もある
■性格的ないろいろな問題から、全盲の人:専門施設(盲養護老人ホーム)から、入所を拒否される

なぜ特別養護老人ホーム(一般的な老人ホームです)にいるのだ???

と言った感じの人です。(訳あって、入所してます)

話も上手く、口も強い、対応が大変だなぁ、と思う人です。


その人について、医師からは「目が治ることはない」と言われていますが、

ご本人は「そんなことを言う医者はやぶ医者だ!最後まで諦めない、目を治してやりたいことをやる」と心を強く持ち、、、

「病院受診をしてくれ」
「良い医者に連れていってくれ」

と訴えます。


そんな会話を何度も、何度も行う中で、

「あなたは目が見えなくなったらどうしますか」
「自分の身に置きかえて考えてみてください」
「治らないと言われたら諦めらめられるのですか」
「目がみえないんですよ、何もできないんですよ」

キツイ質問であり、返答が大変でした。

正直に、私は、

「私はあなたではないから、わからない」
「つらいだろう、大変だろう、なんて言葉は私は言えない」
「ただ、あなたの生活がより良くなるために私にできることをやる」
「施設だからできないことが多いが、できることはやる」

と何度も話します(現在進行形です)。


2.自分が目が見えなくなったらどうするか?


これを考えるのは、めっちゃツラいです。。。

一度、考えすぎて、夢に出てきました(笑)

「皆さん、考えてみてください!」とは言いません、ツラいので。

が、、、

妻、子ども、親、友人など、周りにいてくれる人の顔が見れない

年を重ねて、顔や様子が変わっていく「変化」を見ることができない

これを考えると、誰もがツラく、苦しいのは言うまでもないと思います。


目を閉じて食事をしてみましたが、食べるのに必死で、味わうことできませんでした。

目を閉じてテレビを見ましたが、顔が気になり、途中で嫌になります。

目を閉じていると当然、パソコンやスマホはいじれません。


この「ツラさ」を、表現したら良いのか、正直わかりません。


これは、全盲の人だけでなく、

病気やケガで、ハンディキャップがある人も同じことと思います。

一人ひとりが「違うツラさ」を持っていて、

ハンディキャップと向き合わざるを得ないのだろうと思います。


自分がそのようになったらどうするのか・・・

自分がそのようになった時にどう行動するのか・・・


3.なぜ「福祉」が必要なのか


結論は、

①自分が高齢者・障害者・病気になったときに「福祉」が必要になるから。
②「福祉」がない世界では、安心して生活ができないから。


です。


①病気や障害がない人は、福祉のことを考えている人は少ないと思います。

もしかしたら、中には「福祉なんてあまり必要でない」と思う人がいるかもしれません、悲しいですが。。。


しかし、

「自分が」そうなったときに、「福祉なんて必要ない」と思えますでしょうか?

自分の子どもが、家族がそうなったとき、「福祉なんていらない」と思えますでしょうか?


好きで病気になる人はいません、好きで障害をもつ人はいません。

誰が、いつ、病気になったり、障害をもったりするのかわかりません。

つまり、「福祉」は、他人事ではなく、「自分のこと」であるのです。


②もし福祉がない世界であったらどうしますか?

多くの人が、無意識であっても、病気や障害を患った時に「なにかしらの支援がある」と安心している中で、

安心できるから福祉のことをあまり考えないでいられる中、


もし、病気になっても、障害を持っても、「自分でなんとかして!」と言われたら、どうしますか?


安心して暮らすことなんてできないですよね。。。

もちろん、税金だって払いたくないですし、国が信じられなくなる。


そのとき、どのようなことが起きるか、、、

・頭の良い人は、日本に住まなくなる
・海外の人が住まなくなる
・税金を納めない人が出てくる

と思いますが、このようになったら、

当然、生活が・経済が・そして日本が破綻します。


そのため、「福祉は必要」なのです。


重い文章でしたが、最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。

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