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新しい環境で人から信頼を得るコツ


study cafeへようこそ。

今回は、新しい環境で人から信頼を得るコツ、というテーマで解説していきます。

まず、私自身が仕事を通じて、この『信頼』の必要性を感じたエピソードをご紹介したいと思います。

私は2014年からアフリカの農村部でかごなどのものづくりをしています。最初はゼロからアフリカで人間関係を築いていく必要があったので、農村の女性たちの集会所に出向いて、こういったモノを作成したい、と交渉をする必要がありました。

現地では優しい人も多く、また私が外国人ということで歓迎されている面もあり、うまく話し合いがまとまり、では2週間後に買い取りに来るね、と嬉しい気持ちでその街を後にしました。

そして、2週間後に意気揚々と農村部に再度出向いてみると、話し合っていたモノは全く作成されていませんでした。

当然、最初の感情は、約束を破られた、嘘をつかれた、というもので、何で作成しなかったのか問いただしました。すると、よくよく聞いていくと、その地域で過去にあったエピソードを教えてくれました。

注文だけして、その後約束通りに買い取りに来なかった人々や、販売してから支払いをすると言い、モノだけ受け取って去り、そのまま音信不通になった人々の話など。そうした人々には私のような外国人も含まれていました。

メンバーの中でそうした過去があったため、信頼のない人からの注文には、作るのはやめよう、ということになったそうです。

とは言え、こちらとしては一緒にものづくりをして行きたいという気持ちがあったので、なんとかしなくてはいけません。

では具体的にどのように信頼を得ていったのか。それは新しい環境で人から信頼を得るコツとも言える内容なので、実際の3つのエピソードを交えながらご紹介していきたいと思います。


まず、1つ目は、コミュニケーション機会を増やすこと。相手からすると遠い国からやってきた異国の人間なので、繰り返し会って話すことで警戒心を和らげていくのは、効果的な方法です。バスで1時間の距離だったので通うのはそれなりに大変でしたが、やはり何度も顔を合わせることで少しずつ親近感は増していきます。

これは心理学的にも単純接触効果といって、会う回数が多い方が好感度が高まっていくという効果です。

日本で、新しい環境で過ごす場合にも同様に大事なポイントだと思います。毎日ちゃんと挨拶をすることや、何気ない雑談を通じて人となりを知ってもらうことで、親近感は増していきます。新たな環境で過ごす最初のうちは、とくに意識的にコミュニケーションが取れる機会に参加しておくのも懸命だと思います。

次に、2つ目は、類似性を伝えること。

基本的なことですが、相手の名前をしっかり覚えて名前で呼ぶことや、また、現地の言葉を使うと喜んでもらえていたので、できる限り勉強して現地の言葉で挨拶をすることも有効です。

また、服装など身なりの水準を合わせたり、移動するときの乗り物も同じにしたり、お店で食事をする時には、皆が食べている食事に合わせるのも大事なことです。

人は相手と類似性があると親近感が高まると言われています。私の場合は、外国人であることでそもそも類似性が少ない状況だったので、信頼を得るには、できる限り、こちらから共通項を見せていくことが重要だと考えました。

こうした、相手に合わせるという視点は、日本での信頼構築にも通じることだと思います。

相手が詳しい分野を、事前に調べて勉強しておくことで、親近感を感じてもらえたり、コミュニケーションもより円滑になります。また、特定の趣味がある相手であれば、それらを一度経験してみる、というのも、共通項を作る1つの方法です。

相手の世代や嗜好によって、親近感を与えるために、何を合わせるべきかは変わってきますが、そうした意識を持ちながら、少しずつ、親近感を積み上げていくことが、信頼を築く上で大事なことだと思います。


最後に、3つ目は、第三者を通じて信頼を補完すること。

アフリカの農村部に話を戻すと、日本で言うところの市役所で働く現地の友人がいたため、農村部に一緒に来てもらいました。それは、細かいことを話すための通訳という意味合いもありますが、信頼を補完してくるという面も大きな要素だと思ったからです。

実際に、一定の信頼感のある第三者を通じて、この私という外国人がどういった人物かを紹介してもらったことは、より早く信頼を獲得する上で有効だったと感じています。


日本でも、信頼を築きたい人に対して直接関係を図るよりも、その人が信頼しているであろう知人や友人から間接的に紹介してもらった方が、スムーズに関係を築けるといったことが少なくないと思います。急がば回れ、ではないですが、まずは周辺の人々にコンタクトを取っていくのも戦略的なアプローチだと思います。


以上のような、信頼の獲得を進めつつ、製品の支払いを一部前払いにして渡すなど提案することで、無事、作成してもらえることになり、アフリカでのものづくりがスタートしました。

ありがたいことに、今では事業への信頼が地域全体に浸透しているため、新たな農村部の女性たちと、ものづくりを始めるときも苦労なくスタートできるようになりました。


今回は、『新しい環境で人から信頼を得るコツ』というテーマで、私自身のアフリカでのエピソードを交えながら、解説しました。

ポイントは、『コミュニケーション機会を増やすこと』『類似性を伝えること』『第三者を通じて信頼を補完すること』の3つです。

これらの方法は人から信頼を獲得していく上で、世界共通のセオリーだと思います。これから新しい環境で人間関係を築いて行く方は、ぜひ参考にしてみてください。

<かご専門店 ORIKAGO>


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