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『リュウの行商人』展の覚書

こんにちわ。
9月になったというのに、相変わらず暑い毎日ですね。
さて、今回はずいぶん昔に参加させていただいた『リュウの行商人』展について、自分の覚書的な目的で記事をアップして置こうと思います。
というのも、これについて詳しく書いたものを、どこにも置いてないっぽいことに気づいたもので。
……ということで、しばしおつきあいください。


行商人展と、参加の経緯

まず、『リュウの行商人』展とはなんぞや? という話ですね。
これは、2015年の8月に、清水イズさんという方が主催で開催した、「竜を直接描かず、竜にまつわるものを作品にする」という企画展です。「竜の語り手」と「竜の証」となった作家がペアになり、同じ設定・シチュエーションで作品を作って、展示販売しました。

この企画展、その前年にも『ツノの行商人』展というのが催されていまして、私は募集も会期も終わったあとにそれを知って、すごく興味を引かれました。
それで、もし次の募集があったら、応募してみようと考え、この企画展の公式Twitter(現・X)をフォローしていたのです。
そしたら、2015年に『リュウの行商人』の参加作家の募集があって、すぐに応募しました。
応募した時にはすでに、頭の中に『手紙』で行こう! というアイディアが浮かんでいましたので、応募フォームにはそれをつらつらと書いた記憶があります。
ざっくりとでも作るもののイメージが固まっていたのがよかったのか、募集終了後、参加決定の連絡をいただくことが、できたのです。

作品制作

私は「竜の語り手」の一人となり、「竜の証」の一人である朱々さんとペアを組むことになりました。
最初に二人で話し合い、竜の何を形にするのか? を決めました。
その結果、「鱗」で行こう、ということになりました。
私が手紙の形で作品を作りたい旨は、最初にお話ししてましたので、まず私が手紙の内容となる一人称の小説を書き、朱々さんはそこからイメージを膨らませて、鱗モチーフのアクセサリーを作る、ということになりました。

私が書いたのは、異世界に生きる商人の男性が、娘に送った手紙といった形式の一人称の小説でした。
舞台になっている異世界は、以前から私が書いていた長編シリーズと同じものです。
書き上げた小説は、朱々さんとも共有し、そこからはそれぞれの作品作りが始まりました。

私が最初に作ったのは、便箋です。
イメージとしては、人の手から手へと渡り、最後に行商人の手に渡った、めちゃくちゃ年月を経た古い手紙の便箋でした。
もちろん、そんな古い便箋が簡単に手に入るわけはないので、作ります。
最初は、コーヒーで染めてみました。なんとなく汚れた感じにはなりましたが、「古い」というのとはちょっと違う感じがして……。液ではなく、コーヒーを入れたあとの出し殻とかで染めてみたり、紅茶を使ってみたり、あるいはエイジング用の染料を買って使ってみたり……と、いろいろやってみました。
でも、イマイチ、思っているような感じになりません。
それで、清水さんに相談してみたところ、「本物の古い紙を見てみればどうか」とのアドバイスをいただきました。
そこで、昔書いた古いノートやスケッチブック、本などを取り出して、あれこれ観察し、それからまた染めるのにトライしました。


試行錯誤した紙
試行錯誤した紙その2
試行錯誤した紙その3

あれこれやって、ようやく紙が完成し、同じ要領で封筒も染めました。
便箋には、手書きで小説を書き写しました。
封筒の方には、手書きで宛名っぽいものを書き、マスキングテープのそれっぽいものを切手として貼りました。更にその上から、紙やすりなどでこすったりして、古さを出します。
便箋の方も、折り目をくっきりつけたり、あちこちケバ立たせたりしました。
こうして、私の作品は完成しました。


完成作品『手紙』

結局どうやって最終的にこんな感じにしたのか、今では細部は思い出せませんが(笑)、なんとか形になったのでした。

物販用の個人誌

作品以外に私が作ったのは、物販用の個人誌です。
こちらは、『手紙』本編と書き下ろしの短編2本が載った薄いものです。
便箋を作る合間に中身の小説を書いて、ネットで見つけたやり方を参考に、個人誌用の原稿を作りました。
これについては、その個人誌のあとがきでも書いていますが、ネットがなかったころの小説同人誌作りに較べると、めちゃくちゃラクで、驚くことの連続でした。
入稿もオンラインでさくっと済んで、しかもオンデマンド印刷だったので、在庫を抱える心配のない部数で作れて、すごくよかったです。


物販用の個人誌

会期中と、会期後のこと

会期は2015年8月21日~25日まででした。
私はその最初の21日に、少しの間だけ在廊させていただきましたが、行った時には、私の作品はすでに売れていました。
これはけっこう驚きましたね。
展示開始時間は12時だったのですが、私はたしか電車の都合もあって午前中に京都に到着して、市内をうろうろしてました。それで、昼食を取りに入ったお店でTwitterを確認して、売れたことを知って、えっ?ってなったんです。
それで、信じられない気持ちで会場に到着したところが、清水さんから売れたことをお聞きして、「ほんとに売れたんだ~」と更に驚きを大きくしたのでした。

物販の方も、思ったよりよく売れたと思います。
これはやっぱり、企画展ということと、TwitterなどのSNSがあったおかげで、大昔に較べると私のような無名の作家でも知ってもらいやすくなり、作品を手に取ってもらいやすくなったせいかなと思います。
会期後のオンライン通販もありましたしね。

反省と感想

何年も経って、今更、反省とか感想とかって……って感じですが、これも当時、あんまりどこにも書いてなかった気がするので。

まず、京都へ行く日ですが、他の方たちはみな22日に在廊された方が多かったと記憶してまして、私もその日にすればよかったなと、あとあと後悔してた気がします。
たしか22日が土曜かなんかで、土日あんまり休めない仕事をしていたせいもあって、初日に行ったんだった気がしますが……。
twitterとか、公式サイトであとから見て、楽しそうだな~、私も他の作家さんに会いたかったな~なんて思ったんでした(;^ω^)

作品作りは、苦労しましたけど、すごく楽しかったです。
今思えば、もっと指紋とかつけたりして、いろんな人が触ったっぽい感じを出してもよかったな……なんて思いたりしますが。

それはともかく。
実は、また何かこういうの作りたい……とずっと思ってました。
今はまだ、どういうものが作れるのか、何を作りたいのか、よくわかってないのですが……。
でも、せっかくこうして今、創作活動で生きて行く決心をしたのだから、やってみたい、作ってみたい、という思いが強くあります。
それは今すぐではなくても、いずれは形にできる日が来るだろう、くればいいな、と思ったりするのでした。

さて。長々とお読みいただき、ありがとうございました。
以上、行商人展の覚書でした。

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