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ワーキングメモリとは、何者。

特性シリーズ第2弾、「ワーキングメモリが低い」という特徴に対する対処方法をお話する上で、まずは「ワーキングメモリとは」の部分をまとめました。

ちょっと勉強チックですが、論文やホームページを様々閲覧・統合して理解できたことをなるべく完結に、分かりやすくお伝えしたいと思います!
よろしければご覧くださいませ🐻




1-ワーキングメモリとは


ワーキングメモリとは、
別名:作業記憶といい、
「作業に必要な情報を一時的に保存し、処理する能力のこと」を指します。


・・・と、よく書いてありますが、これじゃさっぱりわからんですよね><
わたしも分からなすぎて、大学で学び始めの頃は分かったフリでスルーしてました😅
いざリハビリで必要となり、改めて調べて分かったことを文献をもとに、今回は図も使用して一つずつお伝えしていきたいと思います。


はじめに、ワーキングメモリを理解するために知ってほしい、2つの特徴があります。

▶特徴①:ワーキングメモリは、視覚的・聴覚的情報と長期・エピソード記憶の全ての情報を取り扱っている


(1)視覚的情報
⇨目から入る情報のこと
例:テレビや窓の外の景色、買い物で目に入る商品など

(2)聴覚的情報
⇨耳から入る情報のこと
例:救急車の音、エアコンの音、工事やアナウンスの音など

(3)長期/エピソード記憶
⇨記憶にある情報のこと
例:以前の経験、会話の内容など


▶特徴②:頭の中で操作できる情報の容量には、制約がある


「マジカルナンバー7」
といい、一度に頭の中で扱える情報は、7つ程度が限界と言われています。
これは、無意味な数字などの場合なので、例えば電話番号をぎりぎり覚えられるのはぎりぎり7つの数字の組み合わせのためです。

※家電/携帯電話は、012-345-9474のような羅列で、はじめの3つの数字はだいたい地域で決まっていたり、携帯会社で決まっている。そのため、おおよそ覚えるのは後ろ7つの数字で良いという意味です

反対に、

有意味の場合は、
「マジカルナンバー4」

と書いてある論文もありました。
つまり意味のあることは4つ程度が限界ということです。
ここでいう有意味とは、
例えば、持ってきてほしいものとして4つのものを言われて、頭で一時的に覚えていておく時のイメージです。
それが、5つ以上になったり、持ってくる途中で声を掛けられたり、視界に大変気になるものがでてくるとキャパオーバーとなり、忘れるという事態が一般的に生じます。


上記の2つが、ワーキングメモリの特徴です。
その特徴を踏まえて、具体例を出していきます。



▶具体例


(例1)買い物
買い物の場合、特に目から入る視覚的情報がとても多いです。


買おうとしているものを事前に頭に列挙していても、いざスーパーに入ると「お買い得」「おススメ」や好きなものに目を奪われて、買おうと事前に思っていたものは何だったっけ状態に。
見事に頭のワーキングメモリの容量を、買うはずの物でなく、目から入った情報に占拠された例です。一方で、きちんと買うべき物と目から入った情報を頭の中で取捨選択できる人・場面もあります。




(例2)計算(暗算)
計算の場合は、とにかく頭の中で扱う数字の量が多いです。
そのため、以下の図のように、条件によって難易度が異なります。

(易)
式を見ながら暗算>
式を思い出しながら暗算>
式を思い出しながら繰り上がりのある計算
(難)

この難易度の違いは、下記の図のように、頭の中で考えて都度思い出す必要のある数字が多いほど、ワーキングメモリの容量を使うため、難しくなります。

式を思い出しながらの方が頭の中で色んな数字を思い浮かべながら扱う必要がある。


繰り上がり、繰り下がりがあるとより複雑になる。



(例3)仕事
仕事は下図のようなファミリーレストランだと、とにかく耳から入る情報が多いです。


このように、ファミリーレストランのホールアルバイトはとにかく聴覚的なタスクが多い仕事。ピンポンで呼ばれたからと、手元の仕事を後回しにすると、戻ってくるまでにまた呼ばれての繰り返しで、ワーキングメモリの容量がパンパンになってしまいます。上手くいらない情報は消していかないと、大事な「頼まれごと」を忘れてしまい、「ビールまだ?ごはん来ちゃったんだけど。」という状態になります。



(例4)会話
会話の中では、主に記憶を使うことが多いです。


会話では、()カッコの部分がワーキングメモリを使っている場面。記憶から必要な情報を頭の中(ワーキングメモリ中)に取り出して、その内容をもとに会話を展開していきます。何気なくやっていることですが、会話には実はワーキングメモリが大変重要な役割を果たしています。




2-ワーキングメモリには得意・不得意がある


前述の具体例からもお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、このワーキングメモリには得意・不得意があります


特徴①でお伝えしたとおり、ワーキングメモリは目から入った情報、耳から入った情報、そして記憶を頭の中で操作する能力です。

また、特徴②のように操作できる情報には限りがある。

これは人によって、そこまで変わらない事実かと思いますが、個々人によって情報の比重や思考の進め方が変わります


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例えば、「視覚優位」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。
これは、視覚的に入った情報の影響度が高い特性のことを言います。
メリットとして、目から入った情報をよく覚えている。デメリットとしては、目から入った情報が過多になりやすいです。

わたしもこの視覚優位の傾向があって、一度通った道をよく見ているので覚えていたり、名前は聞いても覚えられないが見たらすぐに覚えられる、お菓子が目の前にあると急に食べたくなるといったことがあります。

この視覚優位があるということは、反対に聴覚優位(耳からの情報が入りやすい)もあります。

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ここで、その特徴がどう関わってくるかということですが、
前述したようにワーキングメモリは、目から耳から入った情報と記憶、全て合わせて4(有意味)~7(無意味)の情報しか扱えないのです。

そうなると、視覚優位で、目の前の情報が入りやすすぎると、目から入った情報にどんどん占領されて、玉突き現象のように覚えておかなければいけないことを忘れるということが生じてきます。

そのため、ワーキングメモリが低く、苦手さのある方は、下記の項目に心当たりのある方がいらっしゃるかもしれません。

☑何かを取りに行ったはずが、行く間に人と話したら、何を取りに行ったかすぐに忘れがち

☑買い物に行くと、買うはずでなかったものを買って、買う必要のあるものを忘れることが多々ある

☑物の整理をしている途中に懐かしいものを見つけて読み始めると、何をしていたかすっかり忘れてしまう

☑煮物をしている最中、他の家事をしに行くと火を忘れ、ぐつぐつ音で煮物をしていたことを思い出す

☑複数のことを言われると、最初に言われたことが思い出せなくなることがある

☑タスクが多いと、軽くパニック状態になりやすい

☑悩みを頭の中で考えていると、考えが堂々巡りになりやすい

☑暗算が苦手

反対に、得意な人の場合は、いわゆる頭の回転が速く、記憶力も良く、容量が良く映るタイプかと思います。


本日は、「ワーキングメモリとは」の部分をピックアップしたためこちらで以上となります!
もし、「じゃあ苦手な人はどうすればいいの?」「具体策教えて!」という場合は、こちらの記事をご覧くださいませ^^


参考文献

はこちらです!
どれも面白かったので、ご興味があればご覧くださいませ!

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・苧坂直行.(2012).前頭前野とワーキングメモリ.高次脳機能研究,第32号,第1巻,7-14.                                                   
・土田幸男.(2016).ワーキングメモリと注意.北海道大学大学院教育学研究院紀要,第124号,65-80.

・LITALICOジュニア「ワーキングメモリとは?弱いとどうなる?」https://junior.litalico.jp/column/article/014/

・Nomark-Log「ワーキングメモリ(作業記憶)を解説」


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本日もお読みいただきありがとうございました☺


「よかった」「ちょっと理解できた、イメージできた」「すっきりした」と感じて頂けた場合は、スキ頂けると大変嬉しいです💛


それでは、また!

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